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電気電子工学科の高橋竜太准教授の論文がアメリカ化学会のジャーナルに掲載され、サプリメンタルカバーにも採用されました

次世代の電子デバイス材料開発のための薄膜の研究が高く評価される

この度、電気電子工学科 高橋竜太准教授(写真右)が発表した薄膜の結晶成長に関する論文が、アメリカ化学会のジャーナルの一つである『Crystal Growth&Design』に掲載されるとともに、電気電子工学専攻博士前期課程2年の塚原悠斗さん(写真左)が作成した、薄膜をつくる装置を図解したイラストがサプリメンタルカバーに採用されました。アメリカ化学会(American Chemical Society:略称ACS)は、米国に基盤をおく、化学分野の研究を支援する学術専門団体です。1876年に設立され、150か国に155,000人を超える会員を擁する世界最大の科学系学術団体の一つとされています。数多くの雑誌や数シリーズの書籍を発行しており、その中で『Crystal Growth&Design』は、結晶材料の設計、成長や応用に関連する物理的、化学的、生物学的現象プロセスの理論的及び実験的研究を公開している雑誌です。

高橋准教授は、スマートフォンや家電製品、自動車など、様々なエレクトロニクスに使われている半導体をさらに微細化、集積化するための機能性薄膜の開発に取り組んでいます。真空度が高い条件下で酸化物の高品質な薄膜結晶を合成できる、パルスレーザー堆積装置(PLD法)を使って研究を進めています。紫外線の強力なパルスレーザーを真空中に置いた原料に集光し、原料を瞬時に蒸発させることで、アブレーションされた原料はプラズマ状態になり、高温に加熱された基板上に薄膜として堆積する仕組みになっています。本論文では、薄膜を蒸着させる際、ヘリウムガスを使用することで、薄膜の成長性が向上することを明らかにしました。

研究成果が評価されるだけでなく、サプリメンタルカバーに採用されるということは、大変栄誉なことです。そのイラストを作成した塚原悠斗さんは、世界的な雑誌のカバーを飾るという滅多にできないことを経験し、研究へのモチベーションも高まっているようです。塚原さんは材料系の開発に興味を持ち始めた大学4年の頃、高橋准教授から材料研究の説明を聞き、益々面白そうだと思い薄膜機能材料研究室に入りました。もともと、ものづくりが好きだったので、材料を測定する治具などを自作したり、自分で合成した薄膜を使って研究できることに魅力を感じていると言います。「AFM(原子間力顕微鏡)において原子レベルで平坦な薄膜表面の凹凸を見た時、実験の成果を実感できて、ワクワクしますね。将来、LEDなどの発光材料に使われるような薄膜をつくることが目標で、とても夢のある研究です」と目を輝かせていました。

高橋准教授は、薄膜合成プロセスの全自動化、AI化を視野に入れたハード(装置)とソフト(手法)の両方の開発に力を入れています。この研究室から、世界もあっと驚くような新しいデバイス材料が誕生する日も遠くないかもしれません。

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