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建築学科卒業設計展においてJIA(公益社団法人日本建築家協会)東北支部福島地域会の審査会が行われました

プロの建築家も「取り組んでみたい」と思う作品がJIA福島地域会賞に輝く

2月10日(金)に、建築学科卒業設計展においてJIA(公益社団法人日本建築家協会)福島地域会の審査会が行われました。学外展示優秀作品に選ばれた作品は一昨年まで、ビックアイ/市民ふれあいプラザで展示を行っていました。しかし、新型コロナ感染状況を考慮し、昨年度に続き本年度も70号館で開催。ビックアイで行う学外展示では、合同で展示会を開催する日本建築家協会福島地域会(以下、JIA)の建築家が、学内で選抜された作品を学生の説明を受けながら審査し、JIA福島地域会賞を選出しています。本年度で第6回目となる審査会は、昨年度同様、学内で行われる学外展示会場で行われました。
まずは、8日に学内審査で優秀作品に選ばれた学生13名のプレゼンテーションが行われました。




プロの建築家の鋭い質問や学内の審査会とはまた違う視点での意見もあり、緊張感漂う中で学生たちは、戸惑いながらも自分の考えを臆することなく伝えていました。白熱したプレゼンテーション後は、公開審査が行われました。学生もその様子を間近で見ながら、各作品に対する審査員の講評に耳を傾けていました。最後に残った3作品から決選投票の結果、見事満票で朝比奈登亜さんの作品『農落―お茶を嗜む、これからの茶業の在り方―』がJIA福島地域会賞に決定しました。

『農落―お茶を嗜む、これからの茶業の在り方―』

朝比奈登亜さん(建築・地域計画研究室/指導教員:宮﨑渉専任講師)

この作品は、既存の建築物をコンバージョンし、お茶農家と消費者等が体験を通じてお茶を嗜み、お茶文化を認識しながら共助する、新たなお茶農業モデルを提案しました。朝比奈さんは「高校から建築を学び、7年間の集大成として取り組んだ作品をプロの建築家の方々に評価していただき大変光栄です。題材にした場所は、幼い頃から茶摘みを手伝ったりした馴染みのある地元静岡県島田市の川根地区。お茶や集落の歴史を調べ、農家の方へのヒアリング調査を行い、限界集落と言われる地域の課題解決に取り組みました。“建築家が取り組んでみたいと思う作品”と称していただいたことは自信になります」と喜びを噛みしめていました。卒業後は地元の建設会社の設計部に就職するという朝比奈さん。早くも、自分が手掛けた建築物が使われている場面を想像しながら、未来の自分に思いを馳せていました。
JIA福島地域会長の齋藤史博氏(写真左)は、「まちづくり・地域興しからアプローチし、プログラムもしっかり考えられている。分析とデザインが結びついて発展性も想像できる点が素晴らしかった」と講評されました。「卒業設計を通して、社会問題に目を向け、その解決策を考え、形としてデザインしていくプロセスを苦悩しながら納得いくまで味わってほしいと思います。実務ではなかなかできない経験であり、将来の財産になるでしょう」と学生たちへの叱咤激励の言葉もいただきました。
作品一つひとつに込められた学生たちの思いや豊かで斬新なアイデアに、建築家である審査員の方々も大いに刺激を受けたようでした。どの作品も素晴らしい提案で、今後への期待も高まっていました。
これから社会へと旅立つみなさんには、建築学科で学んだ知識を活かして大いに活躍されることを祈念しています。

JIA審査会参加学生及び審査員の皆様