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土木工学科 岩城一郎教授が日本コンクリート工学会功労賞と日本材料学会支部功労賞を受賞しました

コンクリート構造物の耐久性向上に関する学術的貢献と
東北の活性化への貢献が高く評価される

 この度、土木工学科の岩城一郎教授が公益社団法人日本コンクリート工学会の『2021年日本コンクリート工学会賞 功労賞』と公益社団法人日本材料学会の『令和2年度学会賞 支部功労賞』を受賞しました。

日本コンクリート工学会賞は、コンクリートに関する研究の振興及び技術の向上を図ることを目的とする同会の事業の発展のために、長年に亘り顕著な貢献のあった正会員に贈られるもので、岩城教授はコンクリート工学の学問究明に尽力し、コンクリート構造物の耐久性向上に関する研究成果と東北支部長としての功績も評価されての受賞となりました。また、日本材料学会賞の受賞は、『産業副産物を利活用したコンクリート構造物の耐久性向上に関する学術的貢献と東北支部長をはじめとする支部活動への貢献』が評価されたことによるものです。

岩城教授は2005年に工学部に赴任するまで、海沿いの凍結防止剤の散布される塩分環境下におけるコンクリート構造物の塩害やアルカリシリカ反応といった劣化機構の解明を行ってきました。また、製鉄所や石炭火力発電所から排出される高炉スラグ微粉末やフライアッシュといった産業副産物を利活用することによって、コンクリートの耐久性向上効果に関する基礎的研究に従事してきました。工学部に赴任以降、これらの研究を更に深化させるとともに、開発したコンクリートの実用化に着手。キャンパス内に実物大の構造体モデル『ロハスの橋』を構築し、秋田県や福島県の石炭火力発電所から排出されるフライアッシュを利活用したコンクリートを用いて、実環境における様々な挙動を把握するとともに、各種耐久性試験を行いました。その結果、これらのコンクリートは塩分環境下における塩害やアルカリシリカ反応といった劣化に対して極めて高い抵抗性を有することを解明しました。また、本研究で開発された高耐久コンクリート構造物を、国土交通省東北整備局やNEXCO東日本東北支社と連携し、東日本大震災からの復興の象徴として整備された三陸沿岸道路や常磐自動車道の付加車線化工事に実装。更に近年では、福島県産のフライアッシュを用いた地産地消によるレディーミクストコンクリートの標準化に向けた取り組みや、福島県内2か所で稼働する石炭ガス化複合発電所から排出される石炭ガス化スラグのコンクリート材料への利活用を目指した研究を推進しています。これらの研究成果に対し、土木学会技術賞、土木学会論文賞、土木学会田中賞(論文部門)、プレストレストコンクリート工学会論文賞をはじめとする数々の賞を受賞しています。

こうした学術的な研究成果による貢献に加え、日本コンクリート工学会東北支部においては2019年度から2020年度まで東北支部長を、日本材料学会東北支部においては2017年度から現在に至るまで支部常議員/代議員を務めるとともに、第65期(2018年度から2019年度)には東北支部長を務めるなど、両東北支部の活性化に多大なる貢献を果たしてきました。これらの功績は多くの方々が認めるところであり、功労賞に値するものと高く評価されました。

日本コンクリート工学会功労賞盾

日本材料学会支部功労賞盾

 

 

コンクリート工学の発展と持続可能な社会の実現に寄与していきたい

土木工学科 岩城 一郎教授

この度、2つの学会から功労賞という名誉ある賞をいただき、大変光栄に存じます。8年間企業に在籍していたため、他の研究者の方々と比べて研究活動に取り組んだ時間が短い分、「まだまだ精進せよ」とエールをいただいたものと受けとめ、これを励みに研究活動に邁進する所存です。また、東日本大震災から10年が経ちましたが、その間、コンクリート工学がどう進歩し、そして今後どうしていくべきか、再確認する必要があると考え、日本コンクリート工学会支部長在任中に企画したイベントを11月に開催いたします。そのイベントをやり終えるまでが支部長としての責務と考えています。

長持ちするコンクリートを開発し、実際にそれが東北の復興に活用されたことで評価をいただきましたが、取り組みはまだ始まったばかりです。今後どのようにして福島、東北、更には国内外のコンクリート構造物に普及させていくかが課題となります。実装を促進させるためには、開発した技術の標準化を同時に進める必要もあり、やるべきことはまだまだ沢山あります。多くの構造物を長持ちさせ、次世代に引き継いでいくことを使命として、福島をその発信源にしていきたいと考えています。

工学部で学ぶ学生諸君には、ロハスの社会の実現に貢献できる人材になってほしいと願っています。私の研究室ではコンクリート材料を通してその実現を目指していますが、環境保全、防災など、どの分野でもロハスの社会に貢献できるはずです。一人ひとりが高い志を持って、健全で持続可能な社会をつくるために、どんなことができるのかを考えながら、今後進むべき道を選んでください。