電気電子工学科研究室紹介

半導体ナノテクノロジ研究室

教授:池田 正則

ナノスケールの新しい機能薄膜材料の開発

電気電子工学科半導体ナノテクノロジ研究室パソコンやスマートフォンを代表とする電子情報通信機器の高性能化は半導体集積回路の発展によって支えられてきました。半導体デバイスはナノスケールまで微細化され、今後は新しい機能材料によるブレークスルーが求められています。本研究室では超高真空下での表面分析や電気的評価手法を用いて、半導体極薄膜の形成過程、半導体・誘電体薄膜や半導体表面の電子状態を調べ、新しい機能材料や評価技術の開発に取り組んでいます。

【主な研究テーマ】
●多結晶シリコン薄膜の結晶性評価装置の開発
●半導体極薄膜の形成過程に関する研究
●表面光電圧法を用いた半導体表面の電子状態評価
●陽極化成誘電体薄膜の電気伝導機構に関する研究

【主な設備】
●X線光電子分光装置

ワイヤレス通信研究室

教授:石川 博康

日々進歩するワイヤレス通信システムの更なる発展を目指す

電気電子工学科ワイヤレス通信研究室現在、携帯電話、無線LAN、カーナビゲーションといった様々なワイヤレス通信システムが広く普及していますが、 高品質で安定した通信サービスを実現するためには、高度かつ多様な無線伝送技術が必要になります。本研究室では、主に計算機上に構築したシミュレーションソフトウェアを用いて、①無人航空機(UAV)を用いた位置検出手法、並びに、GPSなどの衛星測位システムの複合利用に関する研究、②次世代移動通信システム(5G/6G)のセル構成法や高速伝送技術に関する研究、③IoT用小電力無線モジュールや無線LANのエリア構築検討など、様々な無線通信技術に関する研究開発に取り組んでいます。これらの研究の成果を通じて、ワイヤレス通信システムの更なる発展に寄与することを目指します。

【主な研究テーマ】
●移動通信、衛星通信、固定通信などの無線通信システムに関する研究
●無人航空機(UAV)を用いたユーザ位置検出技術やGPSなどの衛星測位システムの複合利用に関する研究
●次世代移動通信システム(5G/6G)の電波伝搬特性やセル構成法に関する研究
●IoT用小電力無線モジュールや無線LANなどのエリア構築・運用法に関する研究

【主な設備】
●電波無響室
●スペクトラムアナライザ
●ベクトルシグナルジェネレータ

【メッセージ】
様々なワイヤレス通信システムの研究開発を通じて、人々の持続的な暮らしや安心・安全に役立つ情報通信ネットワークの提供や関連するシステムや技術の発展を目指します

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磁気工学研究室

教授:遠藤 拓

人と磁気のより良い関係を目指す

denki_jikikogaku私たちが取り組んでいるのは、磁気に関する研究です。人が物事を記憶するのと同じように、パソコンに使われている磁気ディスク装置には、画像や音声などの情報を、磁気を用いて記録することができます。私たちはこのような磁気記録装置を高性能化し、人に役立つものになるよう研究しています。新しい評価装置を自作したり、計算機シミュレーションを用いて磁気記録の様子や雑音の原因を解明したりしながら研究を進めています。また、磁気を利用した人工臓器の開発も始めました。このように、私たちは人間の内外から磁気とのより良い関係を目指し、日々研究をしています。

【主な研究テーマ】
●新しい高密度磁気記録方式に関する研究
●スパッタ法による磁性積層膜の作製
●磁性粒子の磁化反転のメカニズムの解明
●高速で磁化率を測定する装置の改良
●磁界を利用した新しい人工臓器の開発

光工学研究室

教授:四方 潤一

情報通信と医工学の未来を拓く光技術

denki_hikarikogaku21世紀の情報通信では、光ファイバ通信のさらなる超高速・大容量化が求められています。さらに伝送情報も従来の文字・音声・画像の情報から新しい生命に関わる情報も含め、深化・多様化が期待されています。私たちは、このようなニーズから生み出された最先端の光ファイバを、半導体レーザ光や広帯域な光を用いて高精度・簡便に計測・評価する新技術を研究しています。また、電波と光の中間の波長をもつテラヘルツ波は、人体に無害ながらX線のように物質を透過する性質をもつ新しい「光」であり、新応用が期待されています。私たちは、すでにレーザ光からテラヘルツ波を発生させることに成功しており、テラヘルツ波を光のように細く絞り、生体の組織や細胞に照射して生命情報を読み出し、高精細に画像化する研究を進めています。

【主な研究テーマ】
●非線形光学効果によるテラヘルツ波発生の研究
●表面電磁波を用いたテラヘルツ光学デバイスの研究
●テラヘルツ波の高感度計測に関する研究
●テラヘルツ分光・イメージング技術の研究

コミュニケーション工学研究室

教授:嶌田 聡

画像・映像メディアと生体情報を活用して技能伝承やヘルスケアを推進

本研究室は、人が見ているシーンを記録した一人称視点映像や足底圧・脳血流などの生体情報を用いて、技能伝承やヘルスケアを支援する人間情報工学に関する研究を行っています。
具体的な取り組みとして、熟練者の作業やスポーツ映像に内在する知識の発見や活用を支援する映像メディア処理技術やインタラクション技術を確立し、暗黙知の形式化や集合知による知識創造と流通を継続的に行う映像型ソーシャルネットワーキングシステムを研究・開発しています。また、健康寿命の延伸をねらいとして歩くモチベーションを向上・持続させるしくみや、ストレスを緩和させるための動画コンテンツの生成技術について研究しています。

【主な研究テーマ】
●歩行やスポーツでの動作解析
●危険予知トレーニングによる技能伝承
●メンタルヘルスケアのためのリラクゼーション動画の生成
●機械学習を用いた一人称視点映像から動画教材の生成

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光通信デバイス研究室

教授:俵 毅彦

光ネットワークを支える光機能デバイスの可能性を切り拓く

光通信デバイス研究室私たちが毎日のように使っているインターネットは、光通信技術を中心に成り立っています。今後さらに快適で省エネルギーなネットワークに発展させていくためには、「電気」で動いている部分を極力「光」で置き換えていくことが求められています。本研究室では通信波長帯の光とデバイスを構成する物質の相互作用を上手に制御することで、このような将来の光通信網を支える新しい光機能デバイスの創出を目指した研究を行います。

【主な研究テーマ】
●光-物質相互作用制御の研究
●通信波長帯光量子メモリの研究
●Siフォトニクス用微小レーザ、単一光子源の開発
●光導波路型デバイスに関する研究

【主な設備】
●チタンサファイアレーザーシステム
●近赤外ストリークカメラ
●2.5K冷凍機
●単一光子検出器

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メソスコピック物性研究室

教授:羽田野 剛司

メソスコピック系の物理の解明とデバイス応用

メソスコピックとは、ミクロ(微視的)よりは大きく、マクロ(巨視的)よりは小さい領域のことです。この領域では、数個(大体10個未満)の電子が電子デバイスの中に存在し、クーロン力により互いに非常に強い影響(電子相関)を受けます。また、電子は量子力学によって支配されているので、粒子と波という異なる2つの性質を併せ持ちます。このような特徴のため、メソスコピック領域では量子力学効果を利用した新しい電子デバイス(量子効果デバイス)が実現します。量子効果デバイスを利用すると、従来のコンピュータとは異なる動作原理を持つ量子コンピュータが実現可能となります。最近、メソスコピック領域では、炭素原子1個の厚さ(0.34nm)しかないグラフェンやたった直径数nmのカーボンナノチューブ(グラフェンを筒にしたもの)といった物質に注目が集まっています(1nmは100万分の1mm)。当研究室では量子コンピュータの実現を目指して、グラフェンやカーボンナノチューブなどを用いた新しい量子効果デバイスの研究を行っています。

【主な研究テーマ】
●グラフェンを用いた量子効果デバイスの研究
●カーボンナノチューブを用いた量子効果デバイスの研究
●量子コンピュータ実現に向けた要素技術の研究

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パワーエレクトロニクス研究室

教授:渡部 仁貴  助教:江口 卓弥

カーボンニュートラルに向けた電気電子技術

現在、世界中の国でカーボンニュートラル(CN)の実現に向けて様々な取り組みが行われています。CNと電気エネルギーは密接に関係しており、CNの実現のためには電気電子技術は必要不可欠な技術であります。当該研究室では電気エネルギーの発生、貯蔵、利用の観点からCNの実現に向けて研究をしています。研究では、米わら・麦わら・落ち葉など植物由来の固体酸化物形燃料電池の燃料への応用、キャパシタ・電池の高性能化などを行っています。

【主な研究テーマ】
●バイオマス燃料を用いた固体酸化物形燃料電池の検討
●キャパシタ・リチウムイオン電池の高性能化
●地域未利用資源の有効活用
●電気電子デバイスの研究

【主な設備】
●熱重量・示差熱同時測定器
●固体酸化物形燃料電池発電試験装置
●還元雰囲気炉

【メッセージ】
カーボンニュートラルに向けた燃料電池及び燃料特性の検討

電気機器研究室

准教授:乾 成里

人と地球の未来に役立つモータシステムの開発

denki_denkikikiエネルギー効率が良く、地球にやさしいモータシステムを製作し、その理論体系を構築し、交通機関や工場の搬送装置等として利用できるシステムを開発することを目標に日々の研究に励んでいます。

【主な研究テーマ】
●磁界の解析によるモータの最適設計
●IM(誘導モータ)とLSM(同期モータ)の特性
●磁気浮上
●モータ・アクチュエータとコントロール

【主な設備】
電力計、データレコータ、オシロスコープ、ガウスメータ、計算サーバ、など

計測制御システム研究室

准教授:髙梨 宏之

歩行者・自転車の行動予測モデルの構築

自動車の運転支援システムが普及しているが、より一層の性能向上のためには、車両に搭載された計測装置の性能向上以外に、移動体である歩行者や自転車の行動を予測することが大切である。本研究では、歩行者や自転車が路肩の障害物を回避する場面に着目し、歩行者や自転車がどのような経路を移動するのかを予測するための、行動モデルの構築を行う。特に、より自然な経路予測を行うために、確率的な考え方を取り入れたモデルの構築を行う。

【主な研究テーマ】
●人間支援システムに関する研究

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薄膜機能材料研究室

准教授:髙橋 竜太

データ科学を組み合わせた発光材料プロセスの開発

最先端のコンビナトリアル成膜装置を用いた材料開発を行っています。料理に例えるなら、美味しい料理を作るためのレシピ作りです。半導体デバイスのレシピ作りから始め、合成する温度、堆積スピード、ガス雰囲気を最適化し、材料特性を向上させます。機械学習などの情報科学の技術も駆使し、このプロセスパラメーターを効率よく、短時間に最適化する薄膜プロセス技術について紹介します。

【主な研究テーマ】
●先端薄膜合成装置を用いた薄膜機能材料の開発

【主な設備】
●薄膜合成装置
●薄膜構造評価装置
●薄膜特性評価装置

【メッセージ】
手間や労力のかかる材料開発を効率よく進める方法について考えてみませんか?

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制御工学研究室

准教授:西田 豪

制御系の非線形性を活用する制御理論の研究

当研究室では、あらゆる制御対象が持ち得る非線形性を有効利用する「非線形制御理論」を研究しております。非線形とは、制御系の入出力が単純な比例関係でない場合を指し、例えば、自動車の圧雪路やドリフト走行時におけるタイヤの摩擦特性や、医療補助具や人間共存ロボットの人体接触時における柔軟性などが挙げられます。これらの非線形性は、従来の設計法では取り扱いが困難であり、制御性能が十分に引き出されない場合がありました。そこで、非線形性を簡潔に表現できる数理モデルを考案し、数値計算法と制御設計法の融合を行う事で、適用範囲が広く効果的な制御理論を提案しています。

【主な研究テーマ】
●自動車のドリフト走行や圧雪路での横滑りなどに適用できる非線形制御
●ドローンやロボットなどに対する深層学習を用いたモデル高精度化
●スマートグリッドにおける太陽光発電予測に基づく需要最適制御
●蓄電池や化学反応炉などを表す非線形分布定数系の低次元モデル化
●非線形最適制御におけるハミルトンヤコビ方程式の数値解法
●柔軟性を考慮した人体の姿勢制御
●オーディオデータの補完法

【主な設備】
並列計算機、マルチコプター、オーディオ用DA/ADコンバーター

   

【メッセージ】
特に動くものを作る会社への就職を目指した、考え方や知識を学べます。

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生体生理工学研究室

准教授:村山 嘉延

生命の神秘を探求し医療に役立てる最先端の医工学

ヒトを含む哺乳動物から魚、昆虫、植物に至るまで、「生きている」生体は無機物とは明らかに異なる理(ことわり)に従っています。神秘的にさえ感じられる生命の活動を十分に把握するためには、新しい計測手法の開発とともに、未知の情報を解析する技術を必要とします。当研究室では、体温、熱とゆらぎをキーワードに新しい科学技術を駆使し、卵子からヒトまで生命の本来の姿を探求することで生命の健康を見守るための研究を行っています。

【主な研究テーマ】

●ヒト生殖補助医療における受精卵の品質評価
●マイクロ流路を用いた母胎を模倣する受精卵培養法
●基礎体温の時系列変動データ解析と女性の生涯健康管理への活用
●ウェアラブルデバイスによる常時ヘルスデータ収集が及ぼす心理的影響
●細胞内ラベルフリータイムラプス動画解析
●マイクロ流路振動子を用いた人工知能の開発および生物情報処理
●再生医療を支える周辺工学技術

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スピントロニクス研究室

専任講師:石川 瑞恵

スピントロニクスを利用した次世代デバイスの開発

スピントロニクスは、大学4年生までの授業では扱われない最先端の研究分野です。その技術は、既に私たちの身の回りにあるパソコンやサーバーといった電子機器に利用されており、これからの社会を支える上で重要な技術となっています。
当研究室では、スピントロニクスの次世代デバイスとして期待される“SiスピンMOSFET(Silicon Spin Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)”の実現に向け、デバイスの作製・検討を行いながら、その動作原理の解明や性能の向上を目指し、日々研究を取り組んでいます。

【主な研究テーマ】
●半導体中でのスピン伝導評価に関する研究
●SiスピンMOSFET応用に向けた材料開発
●高濃度Si基板の開発
●高規則度ホイスラー合金の作製

【主な設備】
アニール炉、スパッタ装置

【メッセージ】
研究を通して得た知識・技術・考え方などは社会に出ても使えるスキルばかりです。当研究室では、社会に貢献できる人材の育成に努めます。

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電波応用研究室

専任講師:道山 哲幸

電波のエネルギー伝送技術と医療・化学・環境への応用


当研究室では電波の非通信利用技術に注目し、中でもマイクロ波のエネルギーを医療・環境・食品・化学材料の分野で有効に利用する研究を行っています。例えば、電磁波加熱技術によるがん治療機器の電極開発、人体または物質が持つ電気的特性、通信機器を取り巻く電磁界環境の正確な評価の研究、無線で電力を供給するのためのアンテナを研究しています。
【主な研究テーマ】
高周波の大電力伝送技術に関する研究

●がん治療用マイクロ波凝固療法用アンテナの開発
●がん治療用ラジオ波ハイパーサーミアの研究
●治療機器開発用の模擬生体材料の作製
●生体のマイクロ波帯電気特性の測定
●医療機器使用時の電磁界環境計測に関する研究
●無線給電用電極の開発とその電磁環境評価

【主な設備】
ベクトルネットワークアナライザ
3次元電磁界解析ソフトウェア
マイクロ波帯域の電気特性測定器
マイクロ波治療用発振器
電波暗室