8回キッズデザイン賞に輝いた

産学連携・学内連携による取り組み

キッズデザイン賞

 この度、日本大学工学部『ロハスの工学による郡山キッズ健康増進プロジェクトチーム』と『NPO法人郡山ペップ子育てネットワーク』が共同で取り組んでいる『ふくしま子育て環境構築プロジェクト~PEPな福島Kidsのための夢の遊び場の実現を目指して~』が、『第8回キッズデザイン賞』に選ばれました。この賞は、NPO法人キッズデザイン協議会が主催し、子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン、創造性と未来を拓くデザイン、子どもを産み育てやすいデザインを顕彰する制度で、さまざまな産業の製品や施設、コミュニケーション・調査活動を対象としています。今年は400点以上の応募点数の中から、受賞のひとつ選ばれました。

受賞したプロジェクトの取り組みについてご紹介するとともに、産学連携・学内連携の輪が、どのように広がっているのかに注目してみました。

 

『ふくしま子育て環境構築プロジェクト』の取り組み

 東日本大震災後まもなく、児童精神専門科医、行政、教育委員会が連携して立ち上げた『郡山市震災子どものケアプロジェクト』は、低線量放射線環境下において育ち盛りの子どもたちが体を使って遊べない状況を危惧し、地元企業や郡山市の協力を得て平成2312月に屋内運動施設『PEP Kids Koriyama』を開設しました。さまざまな大型遊具を設置するだけでなく、運動発達理論に基づいた、からだ遊びの提案や子育て支援イベントを開催するなど、遊びを通して子どもキッズデザイン賞1の成育環境の改善に努めています。そこに事務所を構えるNPO法人郡山ペップ子育てネットワ ーク』は、地域の大人たちが子どもたちをどう育てていくかを考え実践することを目的に、平成245月に発足されました。工学部でも震災の翌年3月に、原発被害と風評被害に苦しむ福島県の自立した復興に向けて、その果たすべき役割について考える市民参加型の『ロハスの工学シンポジウム』を開催。シンポジウムを通して、低線量放射線環境下で暮らすための産業創造や子どもたちの屋内遊び場・屋内運動場づくりに寄与することが、工学部の大きな役割であると認識しました。そこで、PEPな福島Kidsのための夢の遊び場の実現を目指して、工学部は『NPO法人郡山ペップ子育てネットワーク』とともに、『ふくしま子育て環境構築プロジェクト』を立ち上げ、企画提案・調査・研究活動に従事することになったのです。『ロハスの工学による郡山キッズ健康増進プロジェクト』は、工学部ふるさと創生支援センターの研究プロジェクトの一つであり、教員はもとより、多くの学生が活動に参加する学科横断的な取り組みを展開しています。

なお、日本大学工学部の『ロハスの工学による郡山キッズ健康増進プロジェクトチーム』は、下記のメンバーで構成されています。

土木工学科:岩城一郎、中野和典、子田康弘 / 建築学科:浦部智義

機械工学科:柿崎隆夫、伊藤耕祐 / 電気電子工学科:村山嘉延

生命応用化学科:加藤隆二、春木満、児玉大輔 / 情報工学科:岩井俊哉、大山勝徳

総合教育:野崎真代

 キッズデザイン賞2

 また、建築学科の浦部准教授+浦部研究室は、同学科の平野由朗非常勤講師等と共に応募した『かつしか風の子保育園・学童保育クラブ』で、『子どもの未来デザイン 感性・創造性部門』でも今回のキッズデザイン賞をダブル受賞しました。これも産学連携による一つの成果であり、風環境や温熱環境などロハスの視点で子どもたちの成育環境を環境的に考えた取り組みが評価されています。

 

学生も参加する産学連携プラットフォーム

この度のキッズデザイン賞においてプロジェクトが評価された大きな要因は、『PEP Kids Koriyama』の有用性やデザイン性のみならず、行政ではない民間の団体が産学連携のプラットキッズデザイン賞3フォームを構築していることや震災後の子どもたちの生活状況について調査研究活動を行っている点にあると思われます。中でも、郡山市の保育園・幼稚園児から小・中学生までの全児童36000人を対象とした運動や食事のストレスについての大規模なアンケート調査は、工学部の学生約100人がボランティアで、配付作業から集計・データ化まで行い実現したものです。こうした産学連携によるプラットフォームの取り組みに、学生が関わっていることは大変意義深いことです。

キッズデザイン賞image003また、平成263月に行った『第3回ロハスの工学シンポジウム』では、子育て支援の在り方に関するソフト・ハードの方向性や構想を広く社会に提案。子どものための夢の遊び場について、各分野の研究者から専門性を活かした有益な意見も出され、市民の皆さまからも『ロハスの工学』の視点で夢の遊び場を実現してほしいという声が数多く寄せられました。シンポジウムでは、建築学科の学生が自ら設計デザインした遊び場の模キッズデザイン賞image005型を展示発表する場も設けられました。学生にとっても企業や一般の方々の意見を聞ける貴重な機会となったようです。

さらにプロジェクトの取り組みは、多様なライフスタイルに対応した屋内遊び場、パーク構想へと発展しています。『大規模施設(都市エリア型)ロハスドームKoriyama構想』では、『ロハスの工学』を取り入れ地産材を生かした木造ドームを提案。学生が製作したロハスドームの模型は『PEP kids Koriyama』に展示され、子どもたちの未来の夢の遊び場として話題を集めています。

キッズデザイン賞6 

産学連携・学内連携が重要な鍵

工学部が教育・研究テーマに掲げる『ロハスの工学』が核となり、研究における産学連携だけでなく、人と人の連携、学科と学科の連携、学生と社会の連携など、さまざまな連携の輪が広がっています。『ロハスの工学』に対する市民の方々の期待も高まりつつある中で、復興のみならず、福島の未来と子どもたちを元気にする夢の遊び場を実現するために、産学連携・学内連携を強固にしていくことが重要な鍵を握っていると言えるでしょう。