産総研シンポジウムで本学部教授が基調講演

2013%e7%94%a3%e7%b7%8f%e7%a0%94%e3%82%b7%e3%83%b3%e3%83%9d%e3%82%b8%e3%82%a6%e3%83%a0image004 3月12日(火)、郡山ユラックス熱海コンベンションホールにて、産総研(独立行政法人産業技術総合研究所)福島新拠点「再生可能エネルギーシンポジウム」が開催されました。産総研は、政府の「東日本大震災からの復興の基本方針」を受け、再生可能エネルギーに関する世界に開かれた研究開発を推進する新拠点を、平成26年4月に福島県郡山市内の西部第二工業団地に開所する準備を進めています。 本シンポジウムでは、新拠点における研究内容や展望について説明されました。満員となる約300人の参加者が会場を埋め尽くす中、産総研野間口有理2013%e7%94%a3%e7%b7%8f%e7%a0%94%e3%82%b7%e3%83%b3%e3%83%9d%e3%82%b8%e3%82%a6%e3%83%a0image002事長は「研究を通じて県への産業集積と復興に貢献したい」とその抱負を語られました。地元福島県からは熊本俊博県中地方振興局長と原正夫郡山市長がご挨拶され、産総研の進出によって産業の再生や活性化につながることへの期待を述べられました。また、ご来賓の代表として赤羽一嘉経済産業副大臣が祝辞を述べられたことからも、福島新拠点に対して各方面から注目が集まっていることがわかります。新拠点と同じ郡山市にあり、産学官連携の中心的存在として期待されている本学部からは、機械工学科柿崎隆夫教授が基調講演を務めました。

日本大学工学部における再生可能エネルギー研究と福島新拠点への期待

2013%e7%94%a3%e7%b7%8f%e7%a0%94%e3%82%b7%e3%83%b3%e3%83%9d%e3%82%b8%e3%82%a6%e3%83%a0image006 柿崎教授はまず、昨年6月に開催された国連持続可能な開発会議「Rio+20」に福島県の代表として出席し、福島県の状況と復興への動き、本学部のロハスの工学について紹介したことを報告しました。次に、今後起こり得る資源枯渇、食料や人口減少などの諸問題を取り上げ、こうした時代に適合する魅力的なライフスタイル、エネルギー自立のための技術や産業、持続可能な社会を実現する教育プログラムなどを念頭において100年スパンで考えていかなければならないと示唆しました。中でも、エネルギーの利用は健康と環境の問題に深く関わります。柿崎教授は、一つの方向性として本学部が推進するロハス(Lifestyles Of Health And Sustainability) について紹介するとともに、今こそ日本の良さである自然と共生する生き方と省エネ機器産業のテクノロジーを融合してチャレンジしていく時代であると明言しました。2040年頃までに第1次エネルギーを100%再生可能エネルギーにするという目標を掲げる福島県。これに向かってどのように努力していくか、具体的な行動が求められているという言葉には、関係者の頷く姿も見られました。

2013%e7%94%a3%e7%b7%8f%e7%a0%94%e3%82%b7%e3%83%b3%e3%83%9d%e3%82%b8%e3%82%a6%e3%83%a0image010 柿崎教授は本学部の取り組みとして、ロハスの工学の軌跡とロハスの家研究プロジェクト及び地域イノベーション戦略支援プログラムの研究活動などについて紹介しました。アクティブに再生可能エネルギー利用を考えるロハスの家1号、パッシブに再生可能エネルギー利用を考えるロハスの家2号、エネルギーだけでなく水の自立も目指すロハスの家3号。また、18本の鋼管杭から浅い地中の熱を採熱し、その熱エネルギーを家に利用するための基礎研究を行う地中熱センター。これらの実験装置を使ってロハスの家研究プロジェクトが進められていると説明しました。さらに柿崎教授は、これらの実験・研究を支えているのは、大学院生や学生であり、そうした学生の力が工学部の強2013%e7%94%a3%e7%b7%8f%e7%a0%94%e3%82%b7%e3%83%b3%e3%83%9d%e3%82%b8%e3%82%a6%e3%83%a0image008みだとアピールしました。製作に携わった地元企業の知識や経験が活かされていることにも言及し、今後、産総研の福島新拠点との連携によるインタラクティブな活動にも期待を示しました。 新エネルギー・省エネルギー技術開発を専門とする小熊正人氏を特任教授として迎えて、研究が進められている地域イノベーション戦略支援プログラム(復興)。その研究として地中熱利用技術の開発などについて説明するとともに、普及へのキーポイントを提示しました。柿崎教授が「サステナブルふくしまスタイルを創って世界に展開していきたい」という思いを語ると、会場の熱も一気にヒートアップ。

最後に、産総研福島拠点への期待として、次のような点を挙げました。

研究から実用化そして産業化までを福島で実現 ●“ふくしまオープンイノベーション”を世界へ展開 ●地域の意欲ある学生たちとの積極的な交流 ●力を合わせて若者や子どもたちの夢と希望と未来を 

 柿崎教授は「これらの核となって、福島県にご支援いただきたい」と願いを込めて、講演を締めくくりました。会場からは本学部への期待も込められた温かい拍手をいただきました。

地中熱・バイオマスエネルギーの研究に注目が集まる

2013%e7%94%a3%e7%b7%8f%e7%a0%94%e3%82%b7%e3%83%b3%e3%83%9d%e3%82%b8%e3%82%a6%e3%83%a0238 続いて行われたポスター展示、意見交換では、本学部の「浅部地中熱利用システムの研究・開発」と「バイオマス利用のための要素技術の開発」をパネルにして紹介。ロハスの家研究プロジェクトに関するパンフレットも配布し、本学部の研究活動を広くPRしました。多くの方が立ち止り興味深くパネルに目を向ける中、地中熱センターの研究について熱弁を揮ったのは機械工学科伊藤耕祐准教授。県事業でも進められている研究であり、実用化への可能性が高いことから、説明を受けた方々の関心も2013%e7%94%a3%e7%b7%8f%e7%a0%94%e3%82%b7%e3%83%b3%e3%83%9d%e3%82%b8%e3%82%a6%e3%83%a0image014ますます高まっているようでした。産総研の関係者からは「これから産総研が再生可能エネルギーの研究を進めていくうえで、すでにこうした取り組みをしている大学と連携できるのは、大変ありがたい。また、人材育成の場として学生の皆さんにも大いに産総研の施設を使って研究してほしい」という、願ってもないお話をいただきました。企業の方は、「大学が持つ基礎研究は貴重。企業としては、それを活かした新しい分野の開拓や新事業を展開できればと考えている。力を合わせて一緒に取り組んでほしい」と産学連携に意欲を見せていま2013%e7%94%a3%e7%b7%8f%e7%a0%94%e3%82%b7%e3%83%b3%e3%83%9d%e3%82%b8%e3%82%a6%e3%83%a0image012した。
 すでに、イオン液体によるCO2吸収・再生プロセスの開発を目指し、産総研と生命応用化学科の児玉大輔准教授の共同研究が始まっています。産総研の新拠点ができることによって、ますます産官学連携が深まり、再生可能エネルギー利用の実現が早まっていくことが期待されます。

 柿崎教授は、今回のシンポジウムについて次のように話しています。
2013%e7%94%a3%e7%b7%8f%e7%a0%94%e3%82%b7%e3%83%b3%e3%83%9d%e3%82%b8%e3%82%a6%e3%83%a0image016 「今回は大変に貴重な機会を頂戴したことに感謝しています。新拠点が福島になったのには、さまざまな理由があるものと思いますが、福島、東北そして我が国にとって意味あるものであってほしいと思い、その意味も込めて講演させていただきました。
 講演終了後には多くの皆様から感想や質問を頂戴しました。ある新聞社の記者の方は、後日わざわざ私のラボまでいらして意見交換をしていかれました。『産総研の進出によって、福島がどう変わっていくのか。どう期待できるのか』といったような話が大方の関心であり期待でもあるようです。私どもも同じです。しかし単純に期待するというだけでは済まないさまざまな課題を我々自身抱えているわけです。
 多くの優秀な研究者と研究実績を持つ産総研にとっても、福島は新天地であります。私もこの土地では少し先輩ですので、お役に立てるかと思います。そして何より日大には若い諸君の巨大なエネルギーがあります。ぜひこれを日大と産総研とのコラボで大きな力へと変換していきたいと思います。」

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