他大学にはない最先端の実験設備、地域や企業とのネットワークなど
工学部の恵まれた研究環境を活かした3人の受賞

 コンクリート工学研究室3人受賞image001 この度、土木工学科コンクリート工学研究室では、岩城一郎教授(写真右)が『プレストレストコンクリート工学会賞【論文部門】』、博士研究員の前島拓さん(写真中央)が『平成27年度土木学会論文奨励賞』、土木工学専攻博士前期課程1年の浅野和香奈さん(写真左)が『平成27年度土木学会東北支部研究奨励賞』を受賞しました。ほぼ同時期に一つの研究室から、立場も研究テーマも異なる3人の研究成果に対し評価を受けたことは、快挙と言えます。
 各人の受賞の喜びの声とともに、コンクリート工学研究室の研究の魅力に迫ってみました。

■コンクリート工学研究室の独創的な研究が各学会の賞に輝く

―この度は、受賞おめでとうございます。まずは感想お聞かせください。

岩城教授:ありがとうございます。対象となった論文は、『ロハスの橋プロジェクト』などにより実際のコンクリート構造物の劣化メカニズムを検証している点が高く評価されての受賞となりコンクリート工学研究室3人受賞image002ました。『ロハスの橋プロジェクト』は、健全で持続可能な橋の実現を目指して、企業と共同で進めている研究プロジェクトです。国内で初めて大学のキャンパス内に実物大の橋梁モデルを再現し、1年間の現場計測とその後の各種耐久性試験により、道路橋の劣化状況の解析を行っています。今回の受賞は『ロハスの橋プロジェクト』の実績に対する評価でもあると考え、さらにプロジェクトを推進し、道路橋の長寿命化つながる方策を提案していきたいと思っています。
岩城一郎教授のプレストレストコンクリート工学会賞【論文部門】受賞の記事はこちら

前島さん:いただいた賞は、その年のコンクリート部門の最優秀新人賞のようなもので、土木学会論文賞の中でも栄誉ある賞ですから、大変光栄に思っています。博士前期課程の時から4年半コンクリート工学研究室2016③人受賞image003かけて取り組んできた道路橋鉄筋コンクリート床版の耐疲労性の研究成果をまとめた論文ですが、ご指導いただいた先生や企業の方々、また研究に携わった多くの先輩後輩の力があったからこその賜物であり、その分大きな喜びを感じています。皆様には深く感謝の意を表したいと思います。次は、塩害・凍害・アルカリシリカ反応という3つの要因が複合した際の劣化状況が橋梁の疲労にどのような影響を及ぼすかについて検証していきます。将来、橋梁の維持管理の一助になるよう研究に励む所存です。
前島拓さんの平成27年度土木学会論文奨励賞受賞の記事はこちら

浅野さん:受賞対象となったのが学部4年時の口頭発表でしたが、コンクリート分野の中でも珍コンクリート工学研究室3人受賞image004しい簡易橋梁点検システムに関する研究内容だったので、まさか賞をいただけるとは思ってもおらず、素直に嬉しいという気持ちと同時に驚きもありました。同じブロックの中にも素晴らしい研究がたくさんあった中で受賞できたことは、今後の励みにもなります。平田村の住民の方や役場の方にご協力いただいた研究なので、この賞がご恩に報いる一つの形になれば幸いです。現在、市町村だけでなく福島県や宮城県の高校とも連携し、教育・社会活動の一環として橋守活動を進めていますが、この取り組みを全国に広めていきたいと考えています。
浅野和香奈さんの平成27年度土木学会東北支部研究奨励賞受賞の記事はこちら

■なぜ、高い評価につながる研究成果を得られるのか

―同じ研究室から異なる研究テーマでの受賞となりましたが、その要因は何だと思われますか。

岩城教授:学生とのコミュニケーションを通して、それぞれ興味を持っていることや得意なこと、今後の展望などを踏まえ、個々にあった研究テーマを設けています。例えば前島くんの場合は、早くから博士後期課程への進学を考えていましたから、卒研生のように1年で成果を出せるものではなく、長いスパンで大成するような橋梁の耐久性を明らかにするテーマに挑戦させるとともに、リーダー的立場で研究を進めてもらいました。
 浅野さんの場合は、学部1年の時から地域住民との道づくりや橋守プロジェクトに参加していたこと、また教員を目指していることなどから、コミュニケーション能力やプレゼンテーション能力を活かした地域のシステムづくりや教育コンテンツの構築に取り組んでもらっています。研究室ではほぼ毎週ゼミを行い、質問やアドバイスを重ねながら、学生が主体的に研究を進めていけるような体制をとっています。そして実験と考察を積み重ね、成果を論文として発表し外部からも評価を受けることで、さらにレベルアップを図っています。
コンクリート工学研究室3人受賞image005 また、その分野の第一人者に会って、秀逸な研究者、秀逸な研究とは何かに触れさせることが、学生のトップアップ教育に欠かせないと思っています。前島くんであれば、コンクリート分野の第一人者である東京大学の前川宏一教授、浅野さんであれば、地方行政に詳しいNHK解説委員の後藤千恵氏(写真左)と直接会って話をする機会をつくりました。その道のトップをいく専門家の考えを聞き、それが刺激となり研究へのモチベーションにつながっているようです。他学科の研究室との関わりもあり、学内外問わず、幅広い知識を吸収できる環境を与えることが大事で、こうした環境づくりが成果につながる要因になっていると思います。

コンクリート工学研究室3人受賞image006前島さん:研究室の魅力の一つは、国内でも数台しかない輪荷重走行試験装置を使った大規模な実験ができることだと思います。他では真似できない独創的な研究や実構造物に近い状況での実験によって、精度の高い研究成果が得られるのは大きな強みです。現在、国家プロジェクトであるSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)の課題『インフラ維持管理・更新・マネジメント技術』の研究の一環として、コンクリート床版劣化の統合解析システム開発の研究にも従事しています。貴重な実験データが得られる環境が整っているから、このような大きなプロジェクトに携われるのではないでしょうか。

浅野さん:岩城先生のお話にもあったように、その道の第一人者の方と直接お話できることはもコンクリート工学研究室3人受賞image007ちろん、地域の人々と関わりを持てる場を与えていただけるのは、大変ありがたいことだと思っています。昨年、平田村の文化祭にも出展し、橋梁点検チェックシートを住民の方々に手渡しするとともに、お話を聞いていただくことができました。“住民主導の橋梁点検“に興味を持っていただく良い機会になり、今回の受賞にもつながる大きな成果となりました。自分の研究がどんどん広がって展開していくのを実感しています。

 

前島さん:これまでいろいろな人に、「こんなに恵まれたドクターはいない」と言われるくらい、私は素晴らしい研究室にいるのだと思いまコンクリート工学研究室3人受賞image008す。指導教員の岩城先生や子田先生は一見厳しい方に見えるかもしれませんが、実は面倒見がよくて、生活面や将来のことも相談できる方なのです。また、博士論文の審査もしていただいた東大の前川先生(写真右)には、最前線の研究や考え方について直接お話を聞く機会があり、山ほどの貴重なアドバイスをいただきました。SIPのプロジェクトでも連携して研究させていただけて、大変やりがいを感じています。

■工学部の学生は気力・体力・粘り強さ・チームワーク力など総合力に優れている

―研究成果をあげるうえで大切なことは何でしょうか。

岩城教授:今の世の中は偏差値だけで学生を評価しすぎる傾向にあります。日本大学工学部の学コンクリート工学研究室3人受賞image009生は知力だけではなく、気力・体力・粘り強さ・チームワーク力などの総合力に優れていると私は思っています。これらをフル稼働させ、まじめにひたむきに努力をすれば、決して他大学に引けを取ることはありません。また、他大学にはない最先端の実験設備、地域や企業とのネットワークなど、工学部が研究環境に恵まれていることも、研究成果につながる大きな要因になっています。今回の受賞はそれを証明したことになり、大変意義深いことで、心から嬉しく思っています。

―ありがとうございました。皆さんの今後益々のご活躍を祈念しております。

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