「学生と地域住民との協働による道づくり&

橋守(はしもり)プログラム)が受賞

社会人基礎力育成授業image001経済産業省が実施した「社会人基礎力を育成する授業30選」事業に土木工学科の教育プログラム「学生と地域住民との協働による道づくり&橋守(はしもり)プログラム」(コンクリート工学研究室)が選ばれました。この事業は、大学での「社会人基礎力」の育成を推進する観点から、効果的な育成手法を実践している大学のグッドプラクティスを表彰するもので、応募総数189件の中から受賞団体が決定されました。指導にあたった土木工学科岩城一郎教授に、道づくり&橋守プログラムの内容や取り組みについて詳しくお話を伺いました。

 

トップアップ教育を目指した「次世代ロハス工学講座」

社会人基礎力育成授業image006コンクリート工学研究室では、社会インフラの老朽化に備え、コンクリート構造物の耐久性や維持管理に関する研究を進めています。実際に、福島県内の町村で管理する道路や橋といった社会インフラの長寿命化を目指し、役場や地元企業の協力を得て住民との協働による生活道路の整備や橋の維持管理を行っています。この度の教育プログラムでは、本研究室の卒業研究生とともに、課外講座「次世代ロハス工学講座」を履修した1年生3人も加わっていることが大きな特徴です。工学部では「ロハスの工学」を教育・研究方針に掲げ、工学により健康で持続可能な社会の実現に貢献できる技術者の育成を目指してします。「次世代ロハス工学講座」はこの趣旨のもと、さまざまな分野の教員が独自の教育プログラムを実践。正規の授業ではない課外講座は、積社会人基礎力育成授業image004極的に何かを学びたいという意欲の高い学生が受講します。昨今の大学教育はボトムアップを重視する傾向にあり、特に1年次は基礎力の積み上げを図るためのカリキュラムが組まれ、高度な学習や実践的な技術を学びたい学生にとってはモチベーションを落とす一因となっています。そこで、入学したばかりのやる気のある1年生を卒業研究生(4年生)とともに、地域の道路や橋といった社会インフラの実状を体感させることで、トップアップ教育につなげていくことを目指しました。

 

社会人基礎力育成グランプリでの準大賞は成長の証

経済産業省は「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」として、「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」3つの能力で構成された「社会人基礎力」を提唱しています。それらの力を実践的に身につけ るために、受講した3人の1年生は平成246月と9月に福島県平田村における住民との協働による道づくり事業に参加しました。丈夫で長持ちするコンクリート舗装を実現するための事業で、産であるセメント会社や舗装会社が技術支援を行いました。学生は現場での施工に携わり、地域住民との交流を図りながら、地域のインフラの実状や重要性を体得していきました。住民との関わりを積極的に図るため、自ら率先して住民に話し掛けて「前に踏み出す力」を養っていきました。さらに夏休みには道普請に関する文献調査を行い、インフラの実状や地域の抱える問題を理解し、その解決策を考える課社会人基礎力育成授業image008題に挑戦。「次世代ロハス工学講座」の他のプロジェクトとともに、その内容を発表する機会を作りました。プレゼンテーションの内容を吟味し、相手に伝わりやすい資料の作成を心掛けるよう指導し、「考え抜く力」を身につけさせました。学内発表の結果、土木工学科1年生チームが優勝し、11月の社会人基礎力育成グランプリ予選大会に出場。見事優秀賞に輝き、3月の決勝大会への切符を手にしたのです。決勝大会の舞台、大勢の聴衆の前でも臆することなく、想像以上の力を発揮し、1年生ながら準大賞を受賞したことは、大きな成果であり学生たちの成長の証といえるでしょう。

 

学生のアイディアから橋守事業へと発展

道づくりでの協働作業はもちろん、プレゼンテーションの準備などでも「チームで働く力」の大切さを学びながら、互いに協力し合い、それぞれ責任を持って役割を遂行していました。実はこの間の冬休みには、初めての企画書「橋の名付け親プロジェクト」を作成し、学生たち自ら平田村村長に提案も行ったのです。将来の地域を担う小学生に橋の名前を付けてもらうという斬新社会人基礎力育成授業image010なアイディアは村長に絶賛され、実際の施策に反映されました。平成256月には橋の命名式が行われ、その後地域住民とともに橋の欄干を塗装する橋守(はしもり)事業へと発展し、学生たちも参加しました。さらにこの活動は、10月には南会津町での橋守事業へと展開されていきます。学生への教育だけでなく、一般市民の方々がインフラに対する関心を持ち、自分たちの手で守ろうという村への愛着心も深まっているようで、今、この取り組みに注目が集まっています。マスコミを通して発信されていく中で、さまざまなところから問い合わせをいただいています。

 

社会に貢献できる実践的技術者の育成を目指して

現場でインフラの実態を体感し、住民とのコミュニケーションを通して、土木工学(Civil Engineering:市民のための工学)の本質や意義を学び、自らの企画を提案し、実践するという教育プログラム。その中で最も重視した点は、社会から見て現在の学生に最も足りないとされる「コミュニケーション能力」でした。学生間、学生と指導教員、学生と村長・地域住民、学生と聴衆といった様々な方との積極的コミュニケーションを通して、自らの考えを常に進化、次のアクションへとつながるようスパイラルアップを繰り返すことにより、当初の予想を遥かに越える成果や成長を実感しました。今回の受賞では、土木技術者として社会で働くために必要な能力を養っていることが高く評価されました。1年生のみならず、卒業研究生にとっても実社会に巣立つ前に地域社会と接点を持てたことは大きな財産になったことでしょう。

今後もこうした学びを通して、地域の課題と向き合い、その将来を深く考え、社会貢献を果たすことができる実践的技術者の育成を目指していきます。

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