医療機器開発に貢献できる人材を目指して

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 涌井さんにプログラムの詳細を聞くとともに、研修を通してどのようなことを学んだのか、お話を聞きました。

―このプログラムを受講しようと思った理由は何ですか。

 もともと医療機器や医療工学に関心があり、現在はサステナブルシステムズデザイン研究室で片麻痺患者の回復を支援するシステム開発の研究に取り組んでいます。このプログラムについては、指導教員の柿崎隆夫教授からお話をいただき、ぜひ参加してみたいと思いました。海外にも興味を持っていたので、将来グローバルに活躍するために留学を経験しておくことも必要だと考えました。

―プログラムの詳細について説明いただけますか。

2016%e5%8c%bb%e7%99%82%e9%96%a2%e9%80%a3%e7%94%a3%e6%a5%ad%e9%ab%98%e5%ba%a6%e4%ba%ba%e6%9d%90%e8%82%b2%e6%88%90%e3%83%97%e3%83%ad%e3%82%b0%e3%83%a9%e3%83%a0image002 プログラムは6月に開講し、来年の2月まで実施されます。研修は、医療機器に関するセミナーや様々な業界の第一線で活躍するプロによる特別セミナー、県内医療機関での研修、シリコンバレー日本大学への短期留学、メディカルクリエーションふくしまでのポスターセッションなどが組まれています。すでにいくつかのプログラムを体験しました。
 まず、開講式では医療機器の開発・販売を行う大学発のベンチャー企業の基調講演がありました。ものづくりの技術を新しい内視鏡手術支援ロボットに応用するという興味深いお話でした。また、受講生たちの研究課題発表があり、私は『障碍者の早期社会復帰を目的とした生活支援システムに関する研究-カメラ撮影画像とモデルのシルエットマッチングによる運動状態推定-』について発表しました。
 第1回の特別セミナーでは「世界における医療機器」、「各国における規制緩和と医療保険制度の動向」と題した2つの講演があり、医療機器開発がどのようにビジネスに結び付いていくのか、国際的な状況を知る良い機会となりました。また、8月に行われた福島県立医科大学での研修では、救命救急センターや臨床工学センター、リハビリテーションセンターなどの施設や業務の見学、病院長からのお話や先生方の講演がありました。普段見ることのできない最前線の医療現場を肌で体感する大変有意義な研修でした。

 9月には、シリコンバレー日本大学が主催する短期留学プログラムに参加しました。シリコンバ2016%e5%8c%bb%e7%99%82%e9%96%a2%e9%80%a3%e7%94%a3%e6%a5%ad%e9%ab%98%e5%ba%a6%e4%ba%ba%e6%9d%90%e8%82%b2%e6%88%90%e3%83%97%e3%83%ad%e3%82%b0%e3%83%a9%e3%83%a0image003レー日本大学は、次世代を担う日本の若者を世界に通用する起業家へ育成するために、日本人の起業家が設立した大学です。この地で活躍する様々な分野のチャレンジャーの方々が講師として、日米のビジネスや起業、投資、医療機器開発などについての講義してくださいました。また、エンジニアが集まるハッカー道場やスタンフォード大学など、シリコンバレーにある様々な施設にも行きました。Apple本社では、社員の方とランチをしながらお話を聞くことができました。Pfizer Inc.では、シリコンバレーのスタートアップ企業を買収するプロセスを聞いたり、社員の方でも見られない製造現場を見学したりさせていただきました。今まで体験したことのないハイレベルな世界を垣間見れて、大変刺激になりました。まずは「0から1へ」、レベルアップできた気がします。

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―受講してどんなことが学べましたか。

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2016%e5%8c%bb%e7%99%82%e9%96%a2%e9%80%a3%e7%94%a3%e6%a5%ad%e9%ab%98%e5%ba%a6%e4%ba%ba%e6%9d%90%e8%82%b2%e6%88%90%e3%83%97%e3%83%ad%e3%82%b0%e3%83%a9%e3%83%a0image008 特にシリコンバレーでの医療機関への訪問は価値の高い経験でした。自力で行くことは難しい場所ですし、その場で直接お話を聞けるというのは貴重な財産になります。それほど英語が得意なわけではなかったので多少の不安もありましたが、流暢に話せなくても伝わるものだと思いました。また、海外で働いてみたいと思っていたので、現地で働く日本人にお話を聞いてみました。縦社会で組織が重要視される日本とは異なり、米国は個人の責任が重く、その分提案や意見も尊重されるそうです。また、新卒のための研修というものがなく、求められる人材は即戦力。文化的な背景もありますが、失敗してもミスが許されるのは日本との大きな違いであり、だからこそ失敗を恐れず積極的に挑戦できるのだと思いました。私自身も、この研修に参加できるチャンスを活かしてチャレンジしたからこそ、大きな成果が得られたのだと思います。これからの人生においても、常にチャレンジしていきたいと思いました。

―この経験をどう活かしていきたいと考えていますか。

 まずは研究に活かしたいと思います。研修でリハビリテーションセンターを見学した時、実際に患者の体に目印をつけて動作を確認しながら回復度合いを計測しているのを見ました。計測用に全身タイツを着用する煩雑さや目印のズレなどの不具合があるようでした。私が取り組んでいるリハビリ補助の研究は、人物の動きをカメラ映像から抽出されるシルエット画像で認識するシステムなので、患者に装置装着などの負担がない上、プライバシーの配慮も出来ます。目印などを用いない2016%e5%8c%bb%e7%99%82%e9%96%a2%e9%80%a3%e7%94%a3%e6%a5%ad%e9%ab%98%e5%ba%a6%e4%ba%ba%e6%9d%90%e8%82%b2%e6%88%90%e3%83%97%e3%83%ad%e3%82%b0%e3%83%a9%e3%83%a0image009ため、ずれが発生しないなど、現状の計測方法より優位性があると思いました。患者一人ひとりに最適なリハビリを提案できるよう、研究に尽力したいと思います。
 また、将来は医療機器開発の会社に就職したいと考えているので、学んだことを糧にして福島県の医療機器産業の発展に貢献できたらと考えています。

―ありがとうございました。今後の活躍も期待しています。

 

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