路面温度予測モデル構築の研究論文が学術賞に輝く

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 研究テーマは「冬季道路における路面温度予測モデルの構築に関する一連の研究」。受賞の喜びと研究について、堀井教授に詳しくお話を伺いました。

 

―この度はおめでとうございます。受賞の感想をお聞かせください。

2013%e6%97%a5%e6%9c%ac%e9%9b%aa%e5%b7%a5%e5%ad%a6%e4%bc%9a%e5%ad%a6%e8%a1%93%e8%b3%9eimage004 自分が取り組んできた研究が対外的に認められて、素直に嬉しいという気持ちです。冬季積雪による道路凍結を防ぐための路面温度予測の研究には、熱収支法と統計法の2つの方法があり、前者が主流とされています。私が進めているニューラルネットワークモデルを使った統計法による研究が受賞したことは、大変意義深いことだと思っています。

 

 

―研究について詳しくお話いただけますか。

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 東北地方などの積雪寒冷地では、冬季交通網の安全を確保するために、凍結防止剤を散布する対策が取られています。しかし、凍結防止剤は土壌や植生などの自然環境に影響を及ぼすだけでなく、塩害によるコンクリート構造物の損傷を引き起こす原因となります。また、近年の豪雪状況では散布量を増加せざるを得ず、雪氷対策費も増大し財政負担を招いているというのが現状です。凍結防止剤をできるだけ少ない量で効果的散布するためには、路面凍結を予測できるシステムの構築が必要となります。そこ2013%e6%97%a5%e6%9c%ac%e9%9b%aa%e5%b7%a5%e5%ad%a6%e4%bc%9a%e5%ad%a6%e8%a1%93%e8%b3%9eimage008で、ニューラルネットワークを使って路面温度予測システムの開発を目指し研究に取り組みました。実際に観測された日本道路公団(現東日本高速道路)郡山管理所内の東北自動車道、尾肝要峠などの路面温度データを入力し、予測モデルと一致するかを検証しました。路面温度の高い地点での実測値と予測値の乖離は見られるものの、路面凍結に影響を及ぼす0℃付近の変動は、ほぼ正確に表すことができました。

 

―研究によってどのような成果が得られましたか。

 時系列データを用いた学習モデルを構築し、それに現在までの所定データを入力すれば、3時間後の路面温度を予測できるという適用能力の高いシステムをつくることに成功しました。いろ2013%e6%97%a5%e6%9c%ac%e9%9b%aa%e5%b7%a5%e5%ad%a6%e4%bc%9a%e5%ad%a6%e8%a1%93%e8%b3%9eimage010いろなデータでも検証を行い、予測性能の精度も確認しています。また、23km離れた地点でもほぼ正確に予測していることから、路面温度の線的予測の可能性も示すことができました。
 これらの成果が、道路における路面凍結防止剤の効率的な事前散布を可能にし、道路劣化の低減や環境配慮に寄与していることが、学術賞にふさわしいと判断され受賞につながりました。

 

―今後の目標についてお聞かせください。

 当面の目標は、この研究成果を実用化させることです。さまざまなデータで検証を行い、線的にも路面温度の予測ができるモデルの構築を目指します。
 予測モデルで実測値を再現できた時の感動はひとしおです。成果がすぐに見て分かるのが、この研究の面白いところであり、大変やりがいを感じます。

 

―最後に学生にメッセージをお願いします。

2013%e6%97%a5%e6%9c%ac%e9%9b%aa%e5%b7%a5%e5%ad%a6%e4%bc%9a%e5%ad%a6%e8%a1%93%e8%b3%9eimage012 土木の魅力は地域に根差した研究ができること。私たちの研究は、東北の積雪問題の解決に役立つとともに、塩害を減らし自然にもよい環境をつくることができます。まさにロハスの工学と言えるでしょう。学生の皆さんも研究を通して社会に貢献できるよう、頑張ってほしいと思います。