アメリカの実像に迫る学術論文をまとめた著書が話題に

2013%e6%a4%8d%e7%ab%b9%e5%85%88%e7%94%9f%e8%91%97%e6%9b%b8image002 比較文化論を研究テーマに、文学を映画や絵画などの表現芸術と比較して、作品のテーマを明確にする研究に取り組んでいる総合教育の植竹大輔准教授。この度、これまでに発表した10本の学術論文を骨子にして書き上げた著書『名画で出会うアメリカの姿と文学者たち』を出版しました。アメリカ誕生前の植民地時代から9.11アメリカ同時多発テロ前夜までの歴史を辿りながら、アメリカ人がどのように生きてきたかを検証したものです。
 本書を読み解くポイントや研究への思いについて植竹准教授にお話を伺いました。

映画を切り口とした比較文化論              

 私たち日本人は、アメリカが培ってきたさまざまな文化、それを生みだした歴史について、断片的には知っているでしょう。しかし、独立戦争、南北戦争、ベトナム戦争そして大恐慌時代などの出来事が、どう歴史的に位置づけられているか、明確に理解しているとは言えません。本書は、「移民」、「人種差別」、「彷徨する精神」そして「保守的精神」という主要な4つのテーマを中心に据えて、アメリカの歴史的出来事やその時代を作品に投影した文学者たちを紹介しながら、アメリカの実像に迫っています。映画を切り口として、如何にしてアメリカの姿が映画と文学という芸術表現で描かれたかを検証したもので、その意味で、本書は映画論であり比較文化論なのです。

表現方法の違いによって時代性や人間性が解る          

アメリカ創成期から9.11アメリカ同時多発テロ前夜までの歴史を、映画と文学の視点で追えるように、約240本の映画や数々の文学作品を引用しています。また、『風と共に去りぬ』や『ティファニーで朝食を』などの数々の名場面を37枚の写真で紹介。それぞれの時代を生きた120名の作家、脚本家そしてジャーナリストたちの時代を洞察する感性とその時代を作品に投影する創作力を読み取っていただきたいと思います。
 映画はそれぞれの時代や文学を素材に描かれていますが、必ずしも歴史の真実や文学作品のテーマを忠実に伝えているわけではありません。例えば、F・スコット・フィッツジェラルド原作『グレート・ギャツビー』をもとに描かれた『華麗なるギャツビー』も最新版も含め5回映画化されていますが、それぞれ製作した時代や製作者によってその意図や表現方法が違っています。文学作品を理解していればいるほど、映画とのギャップから時代性や国民性が立体的に見えてくるのです。そこが、比較文化論の面白さでもあります。

文学作品に触れる機会を                   

2013%e6%a4%8d%e7%ab%b9%e5%85%88%e7%94%9f%e8%91%97%e6%9b%b8image004 これまで各時代を断片的に研究してきたものを時系列に並べてみると、一つの歴史の流れが浮き彫りなりました。次はアジアやヨーロッパのさまざまな時代を、私なりに切り取って検証してみたいと思っています。
 常にアンテナを張って文化や政治・経済の動向を頭に入れながら、文学作品に触れる機会をつくることが大切だと思います。皆さんも興味が湧いた時には、本やドキュメンタリーなどのさまざまな情報に触れて、自身の歴史観と文学観を養ってください。