NI社コンテストライフサイエンス部門において世界で最も高く評価された測定・制御システム

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 この度、電気電子工学科の村山嘉延准教授(写真右)が開発した「医療機器・多機能超音波凝固切開装置の開発に向けた圧電超音波振動測定・制御システム」が、米国NIアプリケーションコンテストにおいて、ライフサイエンス部門の部門賞(最優秀賞)を受賞しました。米国NI(ナショナルインスツルメンツ)社は計測器・測定器・制御システムを開発する世界有数の企業です。そのNI社が主催するNIWeek 2013で開催された「第6回Graphical System Design Achievement Award」は、世界中の企業や教育・研究機関から集められ、各国で最優秀賞を獲得した150以上の応募作品のうち、最終選考に残った18作品の中から、技術誌の編集者やNIのエキスパートによってNI製品の活用性、技術の革新性、世の中への貢献度合いなどを基準に選定される賞です。今回はその中でも、分野(環境/人道/教育/自動車/バイオ技術・ライフサイエンスなど)ごとに目立った成果を挙げているアプリケーションに与えられる部門賞が授与されました。
 村山准教授に受賞の喜びや今後の抱負などについて、お話を伺いました。

 

―ライフサイエンス部門の最優秀賞受賞おめでとうございます。感想をお聞かせください。

2013gsda-awardimage002 昨年、日本NI社グラフィカルシステム開発コンテストで最優秀賞に選ばれ、今回は日本代表としてNI本社があるテキサス州オースティンで開催された「NI Week2013」に招待されました。その中で「第6回Graphical System Design Achievement Award」が発表され、同時に授賞式も行われたのですが、まるでアカデミー賞の授賞式のようでした。ノミネート作品が次々と紹介されていき、最後に紹介された作品が最優秀賞の栄冠に輝くという演出になっていました。最後から2番目の作品が紹介されると同時に、私は周囲の方々から「Congratulations!」と握手を求められたのです。最後に残った私の作品が最優秀賞に選ばれたというわけで、その時は「まさか!」という気持ちでした。今、受賞を振り返り、共同研究企業の皆様方や学生達と作り上げた円滑で風通しの良い研究チーム、日本NIスタッフの皆様方の強力なサポート、全てが有機的に繋がった成果だと感じています。

 

―受賞した作品の内容について詳しくお聞かせください。

生体生理工学研究室では、再生医療を実現するための支援装置の開発や超音波を用いた新しい診断・検査技術の開発を主な研究テーマに掲げています。現在、経済産業省「戦略的基盤技術高度化支援事業」の採択(H23-25)を受け、企業と共同で研究を進めているのが「ニードル型超音波凝固切開装置の開発」です。腹腔鏡下外科手術は、開腹手術に比べて切開部分が小さく、術後の回復も早いため、1990年以降急速に普及し始めました。それにより挿入器具のさらなる細径化が必要とされていますが、超音波凝固切開装置での細径化はいまだ実現していません。そこで、安全性と操作性を向上させることを目標に、直径3ミリメートル以下のツールに、接触センサによる電流のオン・オフ機能と凝固切開に最低限必要な出力を検知する機能を追加した装置の開発に取り組んでいるのです。これまでに事例のない研究であるため、同時に開発システムの構築も必要となりました。試行錯誤しながら開発手法を構築でき、カスタマイズ性に優れ、開発時間を短縮できることから、NI社のシステム開発ソフトウェア「NI LabVIEW」と「PXI」(業界2013gsda-awardimage003標準プラットフォーム)を使って構築したのが、「圧電超音波振動測定・制御システム」です。すべてのシステムをLabVIEWでプログラミングしたことで、システム間の移行が容易に行え、わずか1週間でシステムを構築することができました。超音波凝固切開装置の細径化実現に向けても、大きな成果となりました。          

LabVIEW により開発した測定・制御プログラム

 

―どのような点が評価されたと思われますか。

 本当に必要とされている技術だったことが大きな要因ではないでしょうか。今後ますます需要が増えていく医療機器の開発研究において、NI社でも拡大していきたいライフサイエンス分野でのシステム開発であり、広く社会に貢献できるシステムであるという点が受賞に繋がったのだと思います。

―今後の抱負についてお聞かせください。

2013gsda-awardimage004 システム開発を通して、素晴らしい企業や人々とのネットワークを築けたことは、受賞とともに大きな財産になりました。日本における医療機器産業の発展や幸福を実感する福祉社会の形成には、まだまだ難しい問題が山積しています。また、これからは教育に関わる技術開発にも注目が集まっていくでしょう。専門性を追求するのではなく、開発費のコストを抑え、汎用性が高く誰でも活用できるような教育システムを構築することが、今後の大きな研究テーマの一つです。研究活動のみならず、未来を拓く学生達の育成に、よりいっそう身を捧げ貢献していきたいと思います。

 

―ありがとうございました。今後ますますのご活躍を祈念しています。

 

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