「新☆エネルギーコンテスト」による持続可能なエネルギー利用に
関する工学教育の推進が高く評価される

 機械工学科の佐々木直栄教授(写真右)並びに田中三郎専任講師(写真左)が、一般社団法人日本機械学会2018(平成30)年度日本機械学会教育賞を受賞しました。今年12回を迎える「新☆エネルギーコンテスト」による持続可能なエネルギー利用に関する工学教育の推進が評価されたものです。大学・高専の枠組みを取り払って、高校生以下の低年齢層まで門戸を広げる試みを続けるとともに、実演・発表で用いるポスターを冊子にまとめた概要集も毎回発行するなど、教育的見地からの貢献が高く評価されました。また、第5回以降は工学部を会場として定置開催で行われており、佐々木教授と田中専任講師は運営面でも大いに貢献しています。
 お二人に受賞の喜びとともに、「新☆エネルギーコンテスト」について詳しくお話を伺いました。

―この度は日本機械学会教育賞受賞おめでとうございます。感想をお聞かせいただけますか。

 ありがとうございます。研究ではなく教育分野で賞をいただくのは初めてのことで、私たちにとっては一番遠い賞だと思っていましたから、大変光栄で嬉しく思います。「新☆エネルギーコンテスト」による教育活動を評価いただいたものであり、地道に積み重ねることが大事だと称賛いただいたものと受けとめています。毎年ご協賛いただいている企業の皆様やご後援いただいている各団体の皆様のご支援のおかげであり、厚く御礼申し上げます。また、快く会場を提供していただいている工学部の事務方の皆様方やコンテスト当日の運営にご協力頂いている機械工学科の先生方にも深く感謝しております。

―評価の対象となった「新☆エネルギーコンテスト」について、詳しくご説明いただけますか。

 「新☆エネルギーコンテスト」は、大学・高専の学生を主な対象とする「エネルギー利用」に関する新しいコンテストで、日本機械学会の技術と社会部門が協力するイベントとして2008年にスタートしました。「☆」には、従来の「新エネルギー」の枠にとらわれずに、斬新な発想のもとに「エネルギー利用」を考えたいという意図が込められています。
 第1回と第2回は玉川大学(東京都町田市)、第3回は九州大学伊都キャンパス(福岡県福岡市)、第4回は岩手大学(岩手県盛岡市)、第5回は新たな試みを取り入れて日本大学工学部で開催されました。それ以降は工学部を会場として、定置開催されており、今年で第12回目を迎えます。
 「新☆エネルギーの有効な利用方法を考えてみましょう!」をテーマに、ロハス工学でも注目されている“エネルギー自立・自然共生型住環境の実現”に不可欠な、太陽、風力、地熱、木質系バイオマスなどに代表される新☆エネルギーの有効な利用方法(例えば、冷凍、空調、給湯、調理など)の斬新なアイディアを提案するコンテストです。例年10月中旬に開催され、展示・実演部門とポスター部門の2部門を設けて発表を行います。ポスターセッションに加え、第6回から2分間の口頭発表も実施。最後に審査を行い、優秀なアイディアには各協賛企業から賞を授与しています。また、第6回以降は、開催のエビデンスを兼ねて、提案されたポスターをまとめた概要集を発行しています。昨年は9月4日から7日まで、工学部を会場に『2018年度日本冷凍空調学会年次大会』が行われたこともあり、同学会との共催となり大盛況を収めました。最近では、高校生も多数挑戦してくれていますし、遠く四国からの参加もあり、各方面からエネルギー利用への関心が高まってきていると思われます。

―どのような点が評価されたと思われますか。

 エネルギー問題や地球温暖化問題を解決するためには、研究者や技術者以外の一般の人々にも「エネルギー」という概念を身に付けてもらわなければなりません。そういう意味で、大学・高専の枠組みを取り払って、高校生以下の若い世代も参加し、エネルギーに関心を持ってもらう機会になっていることが、教育的観点からみて評価されたポイントの一つだと思います。このイベントは規模としてはそう大きいものではありませんが、学生が教員や企業の方とマンツーマンで議論できるのが特長でもあり、有意義な勉強の場になっていると感じます。特に大学1,2年生や高校生が人前でプレゼンテーションする機会はなかなかないことです。4年生にとっても、卒業研究発表前にプレゼンテーションができるのは貴重な経験になります。学生たちはアイディアの発案にあたり、実現するために何が必要かを考えて調べたり、自分なりの工夫をしながら熟慮しています。ポンチ絵が描けないと製図もできないので、スケッチの難しさと必要性も感じているのではないでしょうか。授業にはない、型にはまらない学びによって、自ら工学の本質を理解し、個々の思考力や創造力の成長につながっているものと思われます。また、当初は斬新すぎる突拍子のないアイディアを過小評価していた企業の皆様方も、夢物語を真剣に語る学生たちの熱い思いに触れ、それこそがこれからの未来を変える大事な力になると感じているようです。審査結果をまとめる私たちも楽しみながら集計しています。
 もともと私たちは、2011年の東日本大震災で被災した福島県の復興のために尽力したいという思いから、学会の方々が被災地に目を向けるきっかけになればと、郡山での開催を続けてきました。その結果、学会から認められたことは大きな意義があると思っています。

―今後の目標についてお聞かせください。

 一番の目標は、コンテストを継続させていくことであり、コンテストを通して多くの方々のエネルギー有効利用への理解を深めていくとともに、未来を担う技術者の育成にも尽力していく所存です。このコンテストに参加した工学部の卒業生が高校の先生となり、昨年、教え子を連れて参加してくれましたが、コンテストの参加者から次の世代につながっていくのは大変喜ばしいことです。さらに、工学部で開催されるメリットを活かして、ロハス工学を広めていくような取り組みにも繋げていきたいと考えています。高校生たちがロハス工学に関心を持つきっかけになることは間違いありません。これからも福島県の復興、そして工学部の発展に寄与できるよう努めて参ります。

―ありがとうございました。今後益々貢献されますことを祈念いたします。

 

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