産学官連携による開発で東京モーターショーでも話題になった
高齢者向け次世代型パーソナルモビリティ

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 衝突・転倒危険時の警告と緊急通報システムを備えた安全安心パーソナルモビリティとして、身体機能の低下した高齢者向けに開発された電動カー。過疎地などで暮らすお年寄りの「生活の足」になると大きな期待が寄せられています。
 西本教授に、次世代電動カーの開発の経緯や東京モーターショーでの反響についてお話を伺いました。

 

―次世代電動カーの開発はどうように進められたのですか。

 産学官連携により福島県の自動車産業振興を目指す「福島県自動車イノベーション研究会」(座長西本哲也教授)では、福島県の自動車に関連する中小企業の育成を目的に、平成23年度から3か年計画で高齢者向け電気自動車の開発に取り組んできました。プロジェクトを進めるにあたり、福島県内の100名の高齢者に身体能力の調査、生活実態アンケートを取ったところ、もっと手軽に移動できる手段がほしいという結果がでたのです。福島県の場合、多くの高齢者が山間部や市街地の不便な場所で生活しています。交通手段が少ないため、ちょっと買い物に行くのにも軽トラックを使っていたりするわけです。そこで、高齢者の日常生活における通院や買い物、知人宅の訪問など近距離の移動をサポートする車を開発しようと考えました。着座しないでもたれ掛かって運転できる立ち乗り型で、近距離の移動に最適なパーソナルモビリティ。これま%e6%9d%b1%e4%ba%ac%e3%83%a2%e3%83%bc%e3%82%bf%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%bc2013%e5%ae%89%e5%85%a8%e5%ae%89%e5%bf%83%e3%83%91%e3%83%bc%e3%82%bd%e3%83%8a%e3%83%ab%e3%83%a2%e3%83%93%e3%83%aaで私が研究してきたドライブレコーダー等の技術を応用して、身体能力の低下した高齢者のために、緊急通報機能を備えた安全安心システムを搭載しました。これらのコンセプト、デザイン、設計、クレイモデル製作、製造までの一連のクルマ作りを福島県内を中心とする約20社の産学官で実施したことが、大きな特徴です。県内の企業で完成車を製造するのは初めてですが、それぞれが持っているコア技術を結集して、試作品を完成させました。

 

―完成したパーソナルモビリティの特徴についてご説明いただけますか。

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【機能・特徴】

  • 小回りのできる旋回操縦を実現
  • 短距離移動を目的として、着座せずにもたれ掛かることで乗降利便性を重視したシート
  • 買い物に使用できる収納スペースをシート下部に設置
  • 注意警告と緊急通報が可能な速度表示タブレット端末を装備
  • 明るく消費電力も少ないLED前照灯を装備
  • ハンドルレバーとすることで、自転車と同じ感覚で運転操作が可能
  • 充電1時間で1日30kmの移動が可能
  • 15km/hで巡航が可能

【安全安心システム】
タブレット端末による速度表示と警告表示および緊急通報が実行されるシステム。
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  • 衝突危険時の警告と緊急通報システム

240度のレーザレーダが歩行者や道路工作物を検知し、衝突しそうになった時は『障害接近』の注意警告で、ドライバに注意を喚起。『接触』の危険警告が表示されると、電源を遮断して停止させ、かつ緊急通報する。

  • 転倒危険時の警告と緊急通報システム

加速度センサを用いて、車両の傾き状況を検知し、左右・上下の傾き度合いにより『転倒警告』を表示し注意警告する。50°以上の傾きで『横転検知』と表示し、電源を遮断して停止させ、かつ緊急通報する。

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―東京モーターショー2013に出展していかがでしたか。

 東京モーターショーは国内外の自動車関連のメーカー200社以上が参加する国際モーターショーで、今年も90万人余りの人が来場しました。『SMART MOBIRITY CITY』というカテゴリーに出展しましたが、さすがにビッグイベントという感じでしたね。私たちのブースにも%e6%9d%b1%e4%ba%ac%e3%83%a2%e3%83%bc%e3%82%bf%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%bc2013%e5%ae%89%e5%85%a8%e5%ae%89%e5%bf%83%e3%83%91%e3%83%bc%e3%82%bd%e3%83%8a%e3%83%ab%e3%83%a2%e3%83%93%e3%83%aa自動車関連企業だけでなく、高齢者から子どもまで、連日多くの方が訪れました。その場で走らせることはできませんでしたが、ハンドルやシート、安全安心システムなど乗り心地を体験していただきました。高齢者はもちろん、女性の方も高い関心を示していました。デザインが可愛いと子どもたちにも人気で、写真を撮っていかれる方も多かったですね。また、海外の来場者も多数いた中で、ヨーロッパや東南アジアの方が注目していました。ヨーロッパは石畳の小道を運転するのに合うようです。福島の広い山道や農道などを想定して開発していましたが、海外にも需要があることがわかりました。なんといっても、乗った方々が笑顔になってくれるのが嬉しかったですね。気軽に運転できるだけでなく、歳をとっても一緒にいたいクルマになるよう開発を進めてきましたから、愛着を持って乗っていただけるクルマになれば本望です。
 出展したことで、メディアからの注目度も高まっています。産学官の連携で福島発の自動車を作る取り組みへの関心とともに、実用化への期待の大きさを感じました。

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―今後の目標についてお聞かせください。

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―最後に学生たちにメッセージをお願いします。

 メーカーから要望されたのは、ものづくりができる人材の育成でした。大学の研究はコンピュータを使ったシミュレーションが主になってきていますが、自分の手を使ってものをつくることも大切です。ものづくりを実践する中で、その面白さや難しさを学んでください。そして環境や安全技術にも目を向けた夢のあるものづくりを目指してほしいと思います。

 

―ありがとうございました。今後ますますのご活躍を祈念しています。

 

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