『KAMAISHIの箱』に込めた復興への思い

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 建築学科浦部智義准教授と浦部研究室が関わったプロジェクト「KAMAISHIの箱」(岩手県釜石市の復興まちづくりハウス)が、平成25年度日本ログハウス協会建築コンテストで「軸組構法奨励賞」を受賞しました。東日本大震災で被災した釜石市の中心市街地にある2つの公園に、仮設のまちづくりハウスとして建てられた「KAMAISHIの箱」。まちの人々が日常的に立ち寄れる集会施設・インターネットカフェとして利用されています。
 受賞した「KAMAISHIの箱」について、浦部准教授に詳しくお話を伺いました。

 

―受賞おめでとうございます。感想をお聞かせください。

2013%ef%bd%8b%ef%bd%81%ef%bd%8d%ef%bd%81%ef%bd%89%ef%bd%93%ef%bd%88%ef%bd%89%e3%81%ae%e7%ae%b1image004 昨年度は木造仮設住宅群で幾つか受賞をさせて頂きましたが、今回はまた違った内容で受賞できて光栄です。今年度このコンテストへの応募作品61点の中から、この施設建築「KAMAISHIの箱」が「軸組構法奨励賞」に選ばれたことは、継続している復興に向けた我々の活動の励みにもなりますし、「構法」「県外の被災地でのプロジェクト」といったことも相俟って、今までとは違った意味で意義深いことだと思っています。

 

―「KAMAISHIの箱」プロジェクトのきっかけは何だったのですか。

 もともとは福島県で携わった木造仮設住宅のプロジェクトがベースになっていて、他の被災地でも機会があれば何か役に立ちたいと思っていたところ、我々のチームの一員の知人で釜石市で2013%ef%bd%8b%ef%bd%81%ef%bd%8d%ef%bd%81%ef%bd%89%ef%bd%93%ef%bd%88%ef%bd%89%e3%81%ae%e7%ae%b1image006被災した方がいらしたことが縁で始まりました。個人的なつながりから始まったという意味では、まさにボトムアップ的ですね。その頃、既に釜石市にも仮設住宅は建てられていましたが、人々が集まる公共的な場所が少なかったので、被災者のための仮設集会場をつくろうということになったのです。敷地となった大只越公園と鈴子公園は、ともに市内中心部にあり、前者は仮設商店街のど真ん中に位置しています。店舗と集会場を調和させながら、復興のシンボルや情報交換の場となることを考慮しました。後者は、釜石駅に近い鈴子公園につくり、仮設商店街やバス停の利用者の立寄所となるよう考慮しました。それらが「KANAISHIの箱」です。

 

―「KAMAISHIの箱」はどんな建物でどの様に利用されていますか。

2013%ef%bd%8b%ef%bd%81%ef%bd%8d%ef%bd%81%ef%bd%89%ef%bd%93%ef%bd%88%ef%bd%89%e3%81%ae%e7%ae%b1image008 通常、ログハウスは壁面を構成するように材木を横に積み上げていきます。しかし「KAMAISHIの箱」は、4mの杉のログ材を縦にしてつなぎ合わせることにより、柱的にもなる壁パネル化した構法を取り入れています。これは、難波和彦さん・芳賀沼整さんはじめチームメンバーと議論しながら検討した新しい構法であり、ログハウスの可能性を広げる画期的な提案だと言えるのではないでしょうか。木材を横に組むより縦に組んだ方が、日本人には馴染むのかも知れないという意見もありました。杉材等の加工も手間をかけ、200本以上の杉材は、表面をガスバーナーで焼いた後、ワイヤーブラシで水洗いし磨くことで、耐候性を確保しました。こうした作業から現地での組み立てまで、当研究室の学生たちも携わりました。
 完成した大只越公園の集会場は、まちの人々が店舗に買い物に来てフラッと立ち寄れるだけでなく、ネットカフェとして有効的に利用できる用途も付加して、日常の暮らしにも寄与していると思います。鈴子公園の方には、間伐材を燃料とするバイオマス・ボイラーを用いた足湯も設置され、公共的な利用の一助になっています。仮設住宅でもそうでしたが、解体して再利用できる点も大きな特徴であり、仮設で終わるのではなく、今後の復興にも役立つことも評価された点だと思います。木材の利用促進とあわせて、そのあたりは「ロハスの工学」的ですかね。

 

―プロジェクトが目指しているものは何ですか。

 新しい構法の開発やその普及によって木材の利用促進につながる可能性があることや、福島県以外の被災地で行ったことにも意義がるのではないかと考えています。また、福島県外の比較的2013%ef%bd%8b%ef%bd%81%ef%bd%8d%ef%bd%81%ef%bd%89%ef%bd%93%ef%bd%88%ef%bd%89%e3%81%ae%e7%ae%b1image010復興が進んでいる地域の活動に携わり、その動向を見る機会が必然的にあれば、現象は各々に固有のものであっても、福島県の復興の活動の際に何らかの役に立つのではないかと思っています。 前者の新しい構法も、復興に向けての一つの挑戦な側面があります。我々だけしかできない技術では意味が薄れるので、地元の工務店など一般的にも使ってもらえる様に、様々な認定も視野に入れながらスタンダードな技術モデルとして確立していくことが目標です。そういった点を意識して、我々のチームでは現在、郡山市内に常設の「KAMAISHIの箱」的な構法の住宅も含めた「小規模コミュニティ型復興住宅技術モデル群」をつくり、復興への更なる貢献を考えています。

 

―学生たちにメッセージをお願いします。

2013%ef%bd%8b%ef%bd%81%ef%bd%8d%ef%bd%81%ef%bd%89%ef%bd%93%ef%bd%88%ef%bd%89%e3%81%ae%e7%ae%b1image012 当研究室では、学生らが復興に向けて、建築・まちづくりはじめ様々な活動やワークショップのほか、環境的側面も含めた技術モデルのデータ収集などに携わりながら研究を進めています。震災後の新しい社会の構築に、学生のうちから経験を積めるのは大変貴重なことだと思います。復興や復興後の社会の担い手として、大いに活躍・勉強してほしいと思います。

 

―ありがとうございました。今後ますますのご活躍を期待しております。