まちの資源を活かした建築計画・設計の提案が
卒業設計コンクールの優秀賞に輝く

JIA東北学生卒業設計コンクール2016image001 建築学専攻の我妻佑磨さん(浦部研究室)が、4月16日(土)にせんだいメディアテークで行われた、東北地区の主たる建築系8大学・高専の卒業設計の代表作品が出展する日本建築家協会(JIA)東北学生卒業設計コンクール2016で優秀賞を受賞しました。今後、全国JIA各支部・地域大会から選抜された卒業設計の優秀作品50数点によるJIA全国学生卒業設計コンクール2016に出展します。なお、全国への東北の代表枠は2作品ですが、本学からは3年連続の全国への出展となります。
 作品名は、『絡まる建築―足元を固める―』で、福島県の飯坂温泉の現状と今後のあり方を計画・設計し提案しています。
 我妻さんに受賞の喜びと作品の詳細について、お話を聞きました。

―優秀賞おめでとうございます。感想をお聞かせください。

ありがとうございます。この作品は、4年次の学部時代の最後の作品となる卒業設計で規模も大きく設定したので大変でした。模型は後輩に手伝ってもらい、計画や設計、プレゼン手法については先生や先輩方からアドバイスをいただき、なんとか完成できました。学内の審査で選ばれ出展することになったので、大学の代表という責任もありましたから、結果を残せたことで一安心しています。また、自分の考えていることを評価いただけたことも大変嬉しく思いました。

―作品について詳しくお聞かせください。

JIA東北学生卒業設計コンクール2016image003 テーマに選んだ飯坂温泉は、子どもの頃によく家族旅行で行った思い出の場所でしたが、2年前に久々に訪れたとき、廃旅館が多数ある状況に気づきました。団体旅行が減り、日帰りや単身での利用客が多くなるなどニーズが変わってきたのが原因ではないかと考えました。使われない場所が、あちらこちらにあることは、まちの大きな損失にもなると考えます。そこで、ニーズが変化しても使い続けられる様な建築を提案したいと、まず考えました。飯坂温泉は昔から観光のまちではありますが、そこで暮らしている人たちもいるわけです。温泉に入った時に、まちに住んでいるお年寄りの方と話をしてみると、近くて安いから、実は地元の方も頻繁に温泉を利用されていることがわかりました。温泉街としてのコンセプトや雰囲気を踏襲しながら、まちの人たちのための建築をつくり、まちの人たちの居場所につくり替えることによって、温泉街としても新たな形で持続できるのではと考えました。
JIA東北学生卒業設計コンクール2016image005 着目したのは、中層の塊の様な古びた旅館が建ち並ぶ川沿いのスペースです。自然豊かな風光明媚な川も、それらの旅館が建つことで、まちの人はもとより観光客にとっても遠い存在になっています。川に近い建物の足元まわり(1階部分)はというと、ほとんどの旅館で温泉風呂を設置していました。そこで、自由度の高い連続する新たな道を設けることにより、各旅館を湯巡りできるようにすることを計画しました。今まで遠い存在だった川の自然を近くで見ることもできます。もともとある“川”と“温泉”というまちの資源を大事にしながら、大規模開発ではなく若干手を加えるだけで、有効利用できるというのがこの作品の狙いです。デザイン的にも、中層の塊の隙間にそれらに揃えた建築を提案するのではなく、その塊と自分が設計する低層の建築の絡まりによる新しい建築群のあり方にも挑戦しているつもりです。

―どんなところが評価されたと思われますか。

 IIA東北学生卒業設計コンクール2016image007先に述べた様なデザインに係わる建築物のハード面のみならず、まちの人、観光客、福島で復興に向かう人など、様々な立場の利用者のことを考えたソフト面にも重点をおいて提案しました。無理につくっても使われない建築では意味がないと思うのです。そうした考えが一番評価された点だと思います。また、外部交流も含めてまち全体を持続可能なコミュニティとして再考したことや自然を取り入れたことも大きなポイントになったのではないでしょうか。さらに、丁寧につくった模型も効果があったと思います。手伝ってくれた後輩たちには大変感謝しています。

 

―建築の魅力はどんなところですか。

 小学生の時に自宅が新築され、とても住みやすくて感動したことがきっかけで、建築に興味を持ちました。高校でも建築を学びましたが、勉強していくうちに“住みやすさ”だけでなく、デザインだったり、まちづくりだったり、さまざまな建築の魅力がわかり、その奥深さに引き込まれていきました。それぞれの建物の役割も大きいものだと感じるようになりました。もっと勉強したいという気持ちが強くなり、大学院への進学を決意したのです。
 現在、農村舞台等の地域における役割をテーマに研究を進めています。“人”と“建築”の関係を考えるという研究に面白さを感じています。まちの活性化につながる提案ができればと思っています。

―今後の目標をお聞かせください。

JIA東北学生卒業設計コンクール2016image009 本選となる6月の『JIA全国学生卒業設計コンクール2016』と、その前の5月に『レモン画翠 第39回学生設計優秀作品展―建築・都市・環境―』にも出展するので、それに向けて準備を進めています。自分の考えを発表でき、色んな方々にご意見を頂戴できる良い機会ですので、自分らしい挑戦をしたいと思っています。

―ありがとうございました。今後の活躍も期待しています。

 

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