次世代型高分子材料開発をめざす研究が

学会で若手優秀発表賞に輝く

2014高分子学会優秀発表賞image002平成261113()14()に行われた公益社団法人高分子学会東北支部主催の2014高分子学会東北支部研究発表会で、物質化学工学専攻2年の服部龍一さんが発表した『スピロ型複素環構造を有するポリ(テトラメチルシルアリーレンシロキサン)誘導体の合成とその物性』が若手優秀発表賞を受賞しました。

高分子学会は高分子科学の基礎的分野はもとより、機能性や高性能材料などの応用分野の会員で構成され、学術的向上や研究の新展開を図っています。毎年開催される東北支部研究発表会では、4050件の口頭発表が行われ、発表した研究者の中から34名のみに若手優秀発表賞が授与されます。その一人に服部さんが選ばれました。喜びの声とともに、研究内容について服部さんにお話を聞きました。

 

―若手優秀発表賞受賞おめでとうございます。感想をお聞かせください。

ありがとうございます。口頭発表は3回目ですが、受賞は初めてのことで大変嬉しく思います。これまでの経験を踏まえ、聞いている方にわかりやすく伝えることを心掛けました。どんな質問が来るのかも予測して勉強していましたから、質疑の受け答えもうまくできたのがよかったと思います。

 

―発表した研究について詳しく説明いただけますか。

私たちの研究室では、有機デバイスや有機半導体材料への活用を目指し、光る高分子材料の作成に取り組んでいます。ポリ(テトラメチルシルアリーレンシロキサン)は、ポリシロキサンの性質である高い耐熱性、低いガラス転移温度、高いガス透過性といった性質に加え、主鎖に芳香環を導入することにより、耐熱性が向上するだけでなく、芳香環上の置換基として存在するシリル基による吸収スペクトルの吸収波長の長波長シフト、蛍光量子収率が向上するという報告も出されています。一方、ポリフルオレンは高い耐熱性と高い発光効率を示す代表的な発光材料であり、フルオレン環上の9位にフェニル基やスピロフルオレニル基のような剛直な置換基を導入することにより、耐熱性と蛍光量子収率が向上するこ高分子学会優秀発表賞image004とが知られています。また、フルオレン骨格中のベンゼン環をチオフェン環に置き換えたシクロペンタジチオフェン環は小さいバンドギャップを示すことが報告されています。

そこで本研究では、スピロ(シクロペンタジチオフェン-4,9’-フルオレン)骨格を有するポリ(テトラメチルシルアリーレンシロキサン)誘導体の合成を行い、得られた誘導体の光学特性と熱物性について検討することを目的に実験を進めました。結果、シロキサンの置換位置によって発光する波長が大きく変化することが分かりました。口頭発表では、ポリマーおよび各種誘導体の熱物性と光学特性の違い、さらにシリル基の置換位置の違いによる光学特性の変化について報告しました。

 

―どのような点が評価されたのですか。

 本研究は新規化合物の合成であり、オリジナリティのある研究だと思います。シロキサンの置換位置の違いによる発光変化や熱の特性を明らかにしたことに独創性があり、面白い研究だと評価されたのではないでしょうか。研究内容や得られた成果、これからの期待も含めて総合的に評価していただいたのだと思います。

今後は、シロキサンにさまざまな芳香環を入れて実験し、優れた発光を示す高分子を作りたいと考えています。

 

―どんなところが研究の魅力ですか。

2014高分子学会優秀発表賞image006 合成は大変な作業ですが、目的のものが完成した時の達成感はひとしおです。化学は面白い世界。大学院に進んだのも、もっと実験にしてみたいと思ったからです。この2年間で失敗しても挫けない忍耐力と、挑戦し続けるポジティブな精神力が養われました。実験のスキルは積み重ねが大事だと感じています。

 

―ありがとうございます。今後ますますの活躍を期待しています。

 

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