2013高分子学会優秀発表賞image002医療用カテーテルに利用できる

新しい材料の開発を目指す

 平成251114()15()に行われた公益社団法人高分子学会の2013高分子学会東北支部研究発表会で、物質化学工学専攻2年の加藤涼さんが発表した 『スルホベタイン基を有するポリシロキサン系マルチブロック共重合体の合成と物性』が若手優秀発表賞を受賞しました。
 高分子学会は高分子科学の基礎的分野はもとより、機能性や高性能材料などの応用分野の会員で構成され、学術的向上や研究の新展開を図っています。毎年開催される東北支部研究発表会では、発表した研究者の中から34名のみに若手優秀発表賞が授与されます。その一人に加藤さんが選ばれました。喜びの声とともに、研究について加藤さんにお話を聞きました。

 

―若手優秀発表賞受賞おめでとうございます。感想をお聞かせください。

ありがとうございます。学外での口頭発表は初めてでしたから大変緊張しました。でも、原稿を丸暗記しないで、その場の雰囲気に合わせて研究内容の良さが伝わるように心掛けました。賞を取れるとは思っていなかったので、学会から郵便物が届いた時は、すぐには中身が何だかわかりませんでした。恐る恐る開けて受賞の通知だとわかり、とても驚きました。こうした賞はなかなか頂けるものではないので、嬉しい気持ちはもちろん、賞に恥じないような生き方をしなければと思っています。

 

―発表した研究について詳しく説明いただけますか。

2013高分子学会優秀発表賞image004 私は現在、医療用カテーテルの材料について研究しています。既存のカテーテルに使われているポリジメチルシロキサンというシリコーンゴムは、柔らかく患部に挿入しづらいという欠点があります。また、カテーテルの先端部分にコーティングする材料との相互作用が弱いことから、加工も難しい状況です。こうした問題点を改善する方法として、スルホベタイン基を有する芳香環をポリジメチルシロキサンの主鎖中に導入することを提案しました。ポリジメチルシロキサンのような高分子は鎖状に繋がっているので、その間に硬さのある素材を挿入して橋を架けたような状態、つまり架橋結合させれば適度な柔軟性と他材料との強い相互作用を持たせることができるのではないかと考えたのです。

 

―どんな研究成果が得られましたか。

2013高分子学会優秀発表賞image006 まず、目的とする物質の生成を試みました。物質を作るまでには合成したり分解したり、さまざまな実験を行います。合成するまでに48時間くらいかかるものもあります。そうしてようやく目的の物質が完成。生成した芳香環のある物質と無い物質とで血小板吸着測定を行った結果、ある方が血小板の付着が少ないという高い生体特性を示しました。これにより、改良できる可能性があると考えられます。

 

―どんなところが研究の魅力ですか。

 今まで誰も作ったことがないものを生み出すことができるのが、一番の魅力です。成功するより失敗する方が断然多いのですが、その分、成功した時の喜びや達成感は大きくなります。最初2013高分子学会優秀発表賞image008は普通の粉や液体だったものが、さまざまな反応を経て新たな物質に生まれ変わるわけです。今回完成したシリコーンゴムも、世界に一つだけのオリジナルの素材。そこに辿り着くまでの試行錯誤も研究の醍醐味であり、面白さだと感じています。

 

―後輩たちにメッセージをお願いします。

 諦めずに続けていけば、きっと成果が表れます。失敗も無駄ではなく、次につながる成果の一つ。この研究を引き継ぐ後輩たちの成果によって、実用化まで発展させてほしいと思います。そして、このカテーテルが何十年後かの医療現場でスタンダードになっていればいいなと願っています。


 

―ありがとうございました。今後の活躍も期待しています。