ネットワーク省電力化を目指す研究論文が優秀論文賞受賞

2013%e5%b9%b4%e5%92%8c%e8%ab%96%e6%96%87%e5%ad%a6%e7%94%9fimage002 この度、平成23年度情報工学専攻博士前期課程修了の早田祥弘さんの論文「省電力ネットワークを実現する高速トポロジー構築手法」が、電子情報通信学会和文論文誌の学生優秀論文賞に選ばれました。電子情報通信会は電子情報通信および関連する分野の国際学会として、3万4千人の会員を有しています。次世代を担う若手研究者を滋養するとともに、通信分野活性化の契機となることを目的に学生論文を募集。掲載された論文の中でも、特に優れた論文に対し、学生優秀論文賞が贈られました。受賞の喜びと論文の内容について、早田さんにお話を聞きました。

 

―この度は、受賞おめでとうございます。感想はいかがですか。

2013%e5%b9%b4%e5%92%8c%e6%96%87%e8%ab%96%e6%96%87%e8%aa%8c%e5%ad%a6%e7%94%9f%e5%84%aa%e7%a7%80%e8%ab%96%e6%96%87%e8%b3%9eimage004 学会から郵送物が届き、中身が何か分からないまま封を開いたら受賞の知らせで、みんなに「凄いね!」と言われましたが、実感がなく喜び損ねた感じです(笑)。何百篇もの論文の中から論文誌に掲載されるのは、ほんの20~30篇ほど。その中で優秀論文賞に選ばれたのは3篇だけなので、私だけでなく指導してくださった先生方や研究室のメンバーも驚いています。

 

―受賞した論文はどんな研究内容だったのですか。

 簡単に言えば、グリーンICTを目指した省電力化ネットワークに関する研究です。温室効果ガス排出を削減するために、IT機器の省電力化や使用済み製品からの資源リサイクルなど、IT分野における地球環境に配慮した取り組み、つまりグリーンICTによる問題解決が期待されています。特に、年々増加するネットワーク機器の消費電力量が問題となっているため、さまざまな省電力化手法の研究が進められているのです。そこで私たちの研究室では、トラヒックが流れないリンクを作り、その電源をオフにすることにより、省電力化を図る手法について研究しています。
2013%e5%b9%b4%e5%92%8c%e6%96%87%e8%ab%96%e6%96%87%e8%aa%8c%e5%ad%a6%e7%94%9f%e5%84%aa%e7%a7%80%e8%ab%96%e6%96%87%e8%b3%9eimage006 例えば、網の目状に張り巡らされた線路。複数の電車が通る線路もあれば、全く使われない線路もあります。そんな視点でコンピュータ・ネットワークを見てみると、同じように不要な経路があると考えられます。不要な経路の電源を切ってしまえば、無駄な電力を削減することができるはずです。しかし、いざ切ろうと思っても、どれが不要なのかわからない。「この経路の利用は少ないから、こちらの経路を利用すれば必要なくなる」といったことを瞬時に判断するネットワークの全体を監視できるシステムが必要なのです。そこで、トラヒックの流れないリンクを作り、その電源をオフとするリンクを削減し、トラヒックを集約する省電力高速トポロジー構築手法について研究を行いました。
2013%e5%b9%b4%e5%92%8c%e6%96%87%e8%ab%96%e6%96%87%e8%aa%8c%e5%84%aa%e7%a7%80%e5%ad%a6%e7%94%9f%e8%ab%96%e6%96%87%e8%b3%9eimage008 最短経路問題を効率的に解くダイクストラ法というアルゴリズムを使って、必要なときに少ない計算量で必要な結果が返ってくるシステムを構築。シミュレーションの結果、従来よりも時間を短縮することに成功しました。数値解析だけでなく、実際に運用する面からみても高い有効性を示す結果が得られました。
 コンピュータを省エネ化した製品はありますが、ネットワーク環境において電力の無駄を省くという概念は、これまでにない発想です。研究成果によってさまざまな製品にシステムを搭載することも考えられます。そうしたことが評価されて、今回の受賞に結び付いたのだと思います。

 

―なぜ情報工学の道に進んだのですか。

2013%e5%b9%b4%e5%92%8c%e8%ab%96%e6%96%87%e5%84%aa%e7%a7%80%e5%ad%a6%e7%94%9f%e8%ab%96%e6%96%87%e8%b3%9emage010 父もそうですが、親戚のほとんどがIT業界の仕事をしていた関係で、幼い頃からゲームよりパソコンに熱中するような子どもでした。親戚からもらった何台ものパソコンを使ってネットワークを作ろうと思ったのがきっかけで、ネットワークへの興味が強くなっていったのです。学部生時代は授業だけでは飽き足りなくて、演習室に入り浸っていました。ネットワークを使ってどんな新しいことができるのかを知りたいと思い、この研究室に入りました。先輩たちには、日頃から必要なシステムや課題解決の方法を考えさせられるなど、大いに鍛えられました(笑)。でも、それが面白くて寝る間を惜しんで取り組んだから、成長できたのだと思います。ネットワーク関連機器を自由に使えたことや専門サーバの管理に携われたことも、自分にとっては大きなメリットになりました。大学院に進んでからは、国内外の学会発表の場に出ることも多くなり、同じ分野の研究者との関わりが持てたのも、貴重な経験だったと思います。

 

―将来の夢は何ですか。

 念願が叶って、ネットワーク関係の会社に就職が決まりましたから、ゆくゆくは世界を結ぶようなネットワークを作りたいですね。モノづくりは一人ではできない。だから、いろんな人を巻き込んで、「いいモノができた!」とみんなで喜びを分かち合えるようにしたいと思っています。

 

―ありがとうございました。社会でも大いに活躍されることを祈念しています。

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