FREA(産総研)との共同研究プロジェクトによる
フィールドロボティクスの成果が学会で高く評価される

 この度、機械工学専攻博士前期課程2年の平野弘祐さんが、一般社団法人日本太陽エネルギー学会奨励賞〈学生部門〉を受賞しました。この賞は、昨年11月に行われたJSES(日本太陽エネルギー学会)・JWEA(日本風力エネルギー学会)合同研究会で発表した講演論文の中で、優秀と認められた論文の主たる著者に贈られるものです。平野さんが発表した「大規模太陽光発電施設における太陽電池パネル故障診断ロボット(自律故障認識システム)」は、FREA(産業技術総合研究所福島再生可能エネルギー研究所)との共同研究プロジェクトで進めている「フィールドロボティクスによる太陽光発電システムの半自動メンテナンス技術開発及び実証研究」の成果でもあります。FREAでは、最先端の設備や知見を活用した研究開発(共同研究)への参画を通じて、将来の再生可能エネルギー分野を担う産業人材への育成を進めており、平野さんはその事業の一環としてエネルギーネットワークチームに参画しています。
 平野さんに受賞の喜びと研究について、詳しくお話を聞きました。

 

―奨励賞受賞おめでとうございます。感想をお聞かせください。

 ありがとうございます。受賞できたことを大変光栄に思っています。私一人ではなく、プロジェクトに関わった皆さまの力で取ることができた賞であり、喜びもひとしおです。ご助力いただいたサステナブルシステムズデザイン研究室の柿崎隆夫先生、遠藤央先生、そして産総研の皆さまに感謝しています。

 

―研究について詳しく説明いただけますか。

 メガソーラーと呼ばれる1MW以上発電する太陽光発電施設では、メンテナンスに掛る金銭的・人的コストが課題となっています。パネルの故障は、表面層の割れや層状構造の剥離の他、目には見えないものもあります。従来から太陽電池パネルの電流電圧(I-V)特性を利用して、故障したパネルを見つけ出す手法があります。この方法を用いて、実際に故障検査するシステムは2台の移動ロボットと遮光板マニピュレータ、インフラ側センサシステムで構成されます。移動ロボットにはレーザーレンジファインダと全方向カメラが搭載され、外界を認識しながら2台が協調して走行することができます。また移動ロボット上部には 2 台のロボットにまたがる形で懸垂型パラレルワイヤ機構を搭載します。これを使ってモジュールを遮光する板を位置決めし、遮光されたパネルの一部が発電を停止する仕組みになっています。一方でパネルが破損している場合も破損箇所が発電を停止します。これを検出するために、インフラ側には I-V 特性を計測するセンサとセンサ情報を処理する計算機から成るシステムを設置します。遮光により模擬的に破損させた場合、破損箇所が増えるため、さらにI-V特性が変化します。遮光位置を変えていき、すでに破損している箇所にくると、破損箇所は増えないため、I-V特性が変化しません。これにより故障箇所と推定できます。これらロボットなどのシステムに関わる製作も全て研究室で行いました。

 

―どのような成果が得られましたか。

 本発表では、インフラ側のI-V特性の計測システムの知能化を提案しました。具体的には、故障の具合を定量化するための規範曲線モデルと、それを用いた測定手法を構築しました。実際にモデル式を立て、FREAの太陽光パネル試験場にて、実証実験を実施しました。従来、目視でI-V特性の変化を確認していたものを自動化し、基礎的ながらコンピュータで認識できるようになったのは大きな成果だと考えています。

 

―どのような点が評価されたと思われますか。

 この学会では、ロボット技術を使った研究をされる方があまりいないので、まずそこに着目されたようです。ロボット技術を使って定量的に判断する計測方法は画期的で、評価されたのだと思います。

 

―どうしてFREAのプロジェクトに参加されたのですか。

 私はこれまで、住宅の電力を再生可能エネルギーで賄うための最適な設計法の確立を目指して研究を進めてきました。その中で、太陽光パネルの出力をモニタリングしサーバー上で見ることができるシステムを開発しました。その技術を太陽光パネルの故障診断に応用できるのではないかと遠藤先生からご提案いただいたのがきっかけでした。再生可能エネルギーの新技術開発を行うFREAと研究を進めることで、自分の勉強にもなると思いプロジェクトへの参加を決めました。

 

―今後の目標をお聞かせください。

 思ったより正常値と異常値の差が出にくいなど、まだまだ改良の余地があります。将来的には無人で行えるように、より精度の高い計測法を確立したいと考えています。

大学卒業後はエネルギーインフラの維持管理の仕事に就き、これまで研究室やプロジェクトで培った知識や技術を活かして社会に貢献していきたいと思っています。

 

―ありがとうございました。今後の活躍も期待しています。

 

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