新議場の魅力を広く伝えるために学生のアイディアで活かされる

 10月20日(金)、須賀川市役所において、建築学科住環境計画研究室の学生による須賀川市議会施設案内パンフレット完成報告会が行われました。須賀川市では新庁舎開庁にともない、新議場を広く市民に見学してもらう仕組みづくりの一環として、見学用案内パンフレット作成を進めてきました。その際、パンフレット(図面)作成における大学の専門的知見や議場見学実施内容に関する学生の提案、多面的な利活用に関する大学との協働が重要であるとし、大学との連携を検討。住環境計画研究室には、これまで須賀川市におけるまちづくり等をテーマとした研究実績があり、その活動内容が評価され、当研究室との連携をすることが決定したのです。今年2月に議会と当研究室との事前ミーティングを開催し、以降、学生の新庁舎・議会関係施設の見学、パンフレット作成に向けた事前協議、議場見学実施検討会等を経て、この度、報告会を実施する運びとなりました。この日は、須賀川市議会の佐藤暸二議長、大倉雅志副議長、小山伸二議会事務局長、住環境計画研究室の市岡綾子専任講師と学生14名が出席。報告会の開催にあたり、本学部建築学科の卒業生でもある佐藤議長(左)は、「現代の学生がどう考えているのか、いろいろなアイディアを出してもらい参考にしたい」と大いに期待を寄せていました。市岡専任講師(右)は、「これまで研究活動の場として関わってきた須賀川のために、学生の視点で役立つパンフレットをつくることができれば」とその思いを伝えました。
 学生たちが提案するパンフレットは、対象を一般市民、視察者、高校生、小学生、外国人に分けた5種類。各自どのパンフレットづくりに携わりたいか、希望するグループに分かれ、アイディアや意見や出し合いながら進めていきました。どうしたら対象者にわかりやすく、議会に興味を持ってもらえるかをコンセプトに、各グループの代表がデザインしたパンフレットについてプレゼンテーションを行いました。
 まず、一般市民用のパンフレットについて、佐藤将司(左下写真・左)さんが説明しました。一般市民用は、対面型である新議場の特徴を理解してもらうことに主眼をおき、旧議場との変更点を明確にしたことや議場に親しみを持ってもらうために内観クイズを掲載したことが大きなポイントになっています。また、傍聴する市民側からの視点で新議場の良さを伝えるために、日比将斗さん(左下写真・右)から対談形式によるインタビューを掲載する案も提案されました。一般市民用をアレンジして作成した視察者用パンフレットは、佐藤美咲さん(右下写真)が説明を行いました。市議会側から希望されたという視察者用には、バックヤードの紹介を載せたことが一般市民用との大きな違いとなっています。このパンフレットは、B4サイズで開きやすい蛇腹折りの形状で、空気に色をつけるイメージで配色され、議場の堅いイメージを払しょくすることで、市民への興味につなげようと考えられています。

 次に、高校生用について佐藤太寿さん(左下写真)が説明を行いました。実際に高校生に使ってもらうためにはどうすればよいかを考えて作成されたパンフレットは、展望台からの景色が広がる写真が掲載された表紙を開くと議場の内観があらわれるという体感型の形状になっています。高校生が共感できる遊び心を効かせた点がユニークで特徴的です。また、文字を少なくしカジュアルなイラストを使うことで、高校生の興味をひくように工夫されています。
 続いては、子ども用パンフレット。説明する川口拓海さん(右下写真)は、「子どもたちがこのパンフレットを笑顔で開くことを考えながらつくった」と言います。須賀川市マスコットキャラクターのボータンが紹介してくれる楽しいパンフレットで、学生が考えたきゅうりのキャラクターも登場。クレヨンタッチの議事場のイラストのほか、持ち帰ったパンフレットを再度開かせる狙いでぬりえコーナーを入れるなど、子どもがワクワクするアイディアがたくさん詰め込まれています。

 最後に、今泉花梨さん(写真左)が、外国人用について説明しました。パンフレットでは、議場の施設紹介だけでなく、議会制度についても紹介されています。これは、外国人に日本の議会について学んでもらうとともに、市民にも知ってほしいという意図があります。英語を覚えたい市民の方にも配慮し、和訳でも解説されているのも利点です。説明後、今泉さんは、「通常では味わうことのできない大変良い経験をさせていただきました」と感謝の言葉を述べました。また、須賀川市に住む印南里花さん(写真右)は、新庁舎の印象について尋ねられ、「ガラス張りの新しい庁舎になって、以前より入りやすくなったと感じます」と答えました。
 報告を聞いた佐藤議長は、「議会についてわからない人に理解してもらうための様々な工夫があり、さらに磨きをかけることで良いものができると感じた。これからの建築は質を良くしていくことが大事。若い人の発想をどんどん取り入れていきたい」と学生たちの提案を高く評価していただきました。市岡先生は、「このような機会を与えていただいたことに深く感謝申し上げます。多くの方に議場を見学していただき、闊達な議論の場が展開されることを祈念しております」と御礼の言葉を述べられました。
 授業の課題とは違い、クライアントの要望にどう応えるか、一般の方に自分たちの考えをどう伝えるかといった難しさもありましたが、実践的な体験は学生にとっても大変刺激になったようです。「スケール感のある仕事を通して、自分たちの新しい感覚を表現できたと思います。卒業設計にも活かしていきたいです」、「市議会の方々のお話を一から聞き、自分たちのアイディアを形として創り上げ、提案まで一貫して行うという機会は滅多にないこと。経験できて大変良かったです」と達成感を感じていました。パンフレットに使用する写真を撮影した大学院生の相田快さん(写真右)は、「趣味ではなく仕事だという意識を持ちながら撮影を行いました。宙に浮いている議場の特徴を出し、堅くなく柔らかなイメージになるように、また、実際に議場を見た方の印象と同じ写真になるよう心掛けました。市議会や市民の方々の役に立つことができて、大変嬉しく思います」と話していました。

 この経験を通して、仕事を進める上で大切なことは何かを学び、地域に貢献するやりがいを実感できたのではないでしょうか。社会との関わりの中で、自分自身の人間性やスキルを磨き成長しながら、今後も須賀川市のまちづくりに貢献されることを期待しています。