須賀川中心市街地の活性化に建築学科の学生がボランティアで貢献

Rojima_image001

 須賀川市では、古くからの商店街の中で、新たなヒトとモノの交流が生まれることを願って、『Rojima(ロジマ)』という手作り市を毎月第2日曜日に開催しています。このイベントに、初回から建築学科の住環境計画研究室を中心とする有志の学生がボランティアとして参加し、運営をサポートしました。また、10月9日の『第14回Rojima』と、11月13日に開催された『第15回Rojima』では、子どもたちが楽しめる体験型のワークショップを出店し、イベントを盛り上げました。学生たちの活躍ぶりをご紹介するとともに、活動を通してどんなことを学んだのかを取材しました。

 

気持ちのこもった手作りの品と温かい人々との出会いが魅力の『Rojima』

Rojima_image002 『Rojima(路地deマーケット)』は、平成27年6月から地域の若手有志がボランティアで始めたイベントで、中心市街地の広場や路地、店舗など、まちそのものを会場にして開催されている市場です。当初は25店舗ほどの規模でしたが、回を重ねるごとに増え、いまでは70店舗以上が参加する一大イベントになりました。来場者も近隣だけでなく、白河や会津など遠方からも訪れています。その魅力は、手作りの雑貨やアクセサリー、陶器、お菓子など気持ちのこもった手作り品と、温かい心と笑顔で迎えてくれるまちの人々との出会い。“ここ”だからこそ体験できるたくさんの魅力があるのです。ボランティアとして運営をサポートする学生たちも、それを強く感じています。
 ボランティアに参加しているのは、建築学科2年から4年の学生約40名。朝7時からテントや机・椅子の設置などの会場設営、10時から15時までの開催時間内は会場の見回り、受付案内、パンフレットの配付、駐車場での 来場者の誘導、15時以降は会場の片づけというのが主な仕事です。

Rojima_image007Rojima_image006Rojima_image005

Rojima_image004Rojima_image003

 

研究活動を通してつながる、学生と須賀川の人々

 もともと住環境計画研究室では、須賀川のまちをテーマにしたいくつかの研究に取り組んでおり、日頃からまちの方々には大変お世話になっています。学生たちが率先してボランティアに参加するのは、その恩に報いたいという気持ちと、何より須賀川を愛する気持ちがあるからなのです。また、授業やゼミを通して活動を知った2・3年生の学生数名も参加してくれています。中には、地元のために役に立ちたいという須賀川出身の学生もいます。その学生ボランティアの窓口兼学生たちの取りまとめ役を買って出たのは、4年の根本拓弥さん(左下の写真右)。昨年3月から参加した根本さんは、それまで窓口を担当していた同研究室の先輩である西潟健人さんに憧れて、その任務を引き継いだそうです。それだけでなく、「建築の施工管理の仕事に携わるために、コミュニケーションやリーダーシップなど必要な能力を身につけたいと思ったから」というのも要因の一つ。根本さんは、卒業研究で須賀川の遊休不動産の調査を行っています。実際にたくさんある遊休不動産の中で、物置などに使用している蔵(写真右)を所有者の方が研究のために提供してくださいました。現在、いくつかの活用方法を提案し検討しているところです。遊休不動産物件の相談にのってくださったのが、瑞穂不動産の大木和彦さん (左下の写真左から2番目) です。「遊休不動産などの空き家を解体するのは大変だし、古いものが無くなってしまうのは寂しいもの。学生さんには須賀川をラボにして有効に活用してほしいね」と応援してくれています。

Rojima_image009Rojima_image008

Rojima_image010 卒業した西潟さん(写真右)も、昨年卒業研究の一環として、『Rojima』で出会った『まちづくり会社こぷろ須賀川』と共同で空き店舗となっていた物件のセルフリノベーションを行いました。業者に発注した場合の金額とセルフリノベーションした場合の経費との差を出し、この方法の有効性を導き出すために、自分たちで改修工事も行いました。4年生の河内郁哉さん(写真左)も、そのときペンキを塗ったり天井を直したりセルフDIYを手伝ったそうです。このセルフリノベーションによって時間はかかりますが、実際に半額以下でできることがわかりました。その後は貸店舗『Co-Kitchen軒の栗ダイニング』として低家賃で貸し出されており、『Rojima』でもこのスペースを借りていくつかの団体が出店しています。西潟さんは、「『Rojima』を中心に様々なつながりが生まれている。賑わっていない時期と比較して、これだけ賑わっている状況を目にすれば、空き家を提供しようとする方も増えるのでは」と期待を寄せています。さらに西潟さんは、「まちづくりの障害となるのは、現状維持志向が強いこと。住んでいる人の意識をもっと違う思考に変えていきたい。『Rojima』に来て肌で感じてほしいですね」と話していました。

Rojima_image011 商店街の方々も、学生がまちの活性化に貢献してくれることを期待しています。研究にともなう店舗活用の相談にのってくださった『菓子司近江屋』の店主、安藤健治さんは、「学生さんには第三者の目で見て、まちの人が気づかないことを提案してほしいね」と切望しています。実は当初、『Rojima』には参加していなかったのですが、若い人が頑張っているから協力したいと思い、出店するようになったそうです。手作りを大切にしているまちだからと町内会のお祭用に自分たちで作った屋台を使って販売していました。

Rojima_image012 須賀川は古くから独自の文化や産業で栄えてきました。現在は生産されていませんが、明治から昭和まで赤瓦の生産地でした。4年生の糸賀成美さん(左下の写真左)は、その赤瓦を題材にして研究を進めており、いつ頃から、どのようにつくられているのかを調べるために、文献を読んだり、須賀川の店舗や建設会社への聞き取り調査を行っています。古い瓦にも愛着を持ち大切にしている須賀川というまちに惹かれたという糸賀さん。「偶然に知り合った方から情報をいただくこともあり、人から人へとつながっていくのが面白いですね。それも、このまちだからできることだと思います」と須賀川の良さを実感していました。

 

子どもたちとふれあいながら、まちの一員になれたと実感できたワークショップ

Rojima_image015 10月と11月に行われた『Rojima』(写真は11月の様子)では、学生たち自身がワークショップを企画し、出店者側に立った『Rojima』を体験しました。子どもたちに楽しんでほしいと企画したのは、アイスの棒を使ったフォトフレームづくりと、落ち葉や果物の形のカードに絵や言葉を書いてもらうメッセージアート。子どもに寄り添い、目線を合わせながらサポートすることを心掛けたと言います。「夢中になって体験したり、何枚もカードを書く子どもたちの姿を見て嬉しかった!」という学生たち。Rojima_image014Rojima_image013

Rojima_image016 もうひとつ嬉しかったことがあると話すのは、来年度、宇都宮市役所に就職する4年生の山口広朗さん(写真左)。「ワークショップを出店する側になった時、すんなり受け入れてもらえました。須賀川の一員として認められた気がして嬉しかったです。これまでボランティアを継続してきたからこそだと思います」。さらに、ボランティアを通して、来場者、出店者、主催者、みんなが楽しんでいる様子を見ることができ、市民の方にどう耳を傾け、ネットワークをつくっていけばいいのかという勉強になったそうです。

Rojima_image017 4年生の松本稔弘さん(写真右)は、『Rojima』のようなまちなかイベントの企画が卒業設計にも活きてくると考えています。「大学の授業ではハード面を主に学んだけど、『Rojima』ではソフトの部分が大変勉強になります。須賀川は人と人とのふれあいが多いまち。ボランティアで仕事を任されたり、お店の方と雑談しているうちに、どんどん楽しくなってきた」と話していました。松本さんの言葉の通り、商店街の方が学生にも気軽に声を掛けてお茶を差し入れてくれる光景に、心がほっこりしました。

Rojima_image018 『Rojima』実行委員の遠藤文康さん(下の写真中央) は、学生たちの活躍ぶりを頼もしく見てくれています。現在、公益財団法人郡山地域テクノポリス推進機構に勤務する遠藤さんは、電気電子工学科の卒業生でもあります。「学生が『Rojima』に関わることは、須賀川にとっても学生自身にとっても大変メリットのあること。これからもどんどん関わりを深めてほしいですね」と期待を込めていました。

 学生それぞれが、須賀川のまちとの関わりを通して様々なことを体験しながら、まちづくりに大切なものは何かを学ぶとともに、人間的にも大きく成長しているようです。学生を育ててくださる須賀川のまちの皆さんに感謝いたします。学生の皆さん、これからも須賀川のまちの活性化に貢献できよう頑張ってください。

『Rojima』の詳細はこちら
工学部校友会サイトの遠藤文康さんへのインタビューはこちら