「山崎直子の宇宙の授業」

%e6%95%99%e9%a4%8a%e8%ac%9b%e5%ba%a72012image002 各業界の著名人を招いて、その人生観や世界観などに触れる教養講座が今年も開講。510()の第1回は、サッカー元日本代表で現在解説者として活躍する松木安太郎氏の「負けてたまるかサッカー人生」、517()の第2回は、宇宙飛行士山崎直子氏の「山崎直子の宇宙の授業」でした。それでは、宇宙飛行士になるまでの道のりや搭乗した「ディスカバリー号」での宇宙体験をお話いただいた、山崎氏の講演をリポートします。

 

■一歩一歩地道な積み重ねが大事

%e6%95%99%e9%a4%8a%e8%ac%9b%e5%ba%a72012image004 NASAの青いユニフォームに身を包んだ山崎直子氏が登場すると、会場を埋め尽くした1年次生約900名と一般市民の方200名から大きな拍手が沸き起こりました。宇宙飛行士で現在日本宇宙少年団(YAC)副団長を務める山崎氏は2子の母。講演の冒頭、山崎氏は「ママは将来何になりたいの?」とお嬢様から聞かれ、夢はいつまでも持ち続けるものだと改めて感じたと言います。「さまざまな世界を見る時間がたくさんある学生の皆さんも、今が夢を持つよい機会でしょう」と繋ぎ、これから始まる夢のような宇宙飛行の物語に学生たちを誘いました。

 まず、ご自身の生い立ちについて、世界の宇宙飛行の歴史とともに語り始めました。山崎氏の生まれた1970年は、日本初の人工衛星が打ち上げられた年。1980年代には当時アメリカ大統領だったレーガン氏が国際宇宙ステーションの計画を発表。その頃はまだ、星を見ることが好きだった少女の山崎氏は、いろいろ習い事にも挑戦したそうですが、なぜか一番長く続いたのは習字。また、高校時代にはテニス部で汗を流していたということで、一見、宇宙飛行士の道とは関係ないように見えますが、実はその経験も後に繋がっていくことを示唆しました。

 2012%e6%95%99%e9%a4%8a%e8%ac%9b%e5%ba%a7image006大学では工学部に進み航空学を学んだという山崎氏。学生時代に書いたスペースシャトルの図面も披露してくださいました。その後、経験したアメリカ留学では、自分自身が日本について知らなさ過ぎることにショックを受けたと言います。「外に目を向くばかりではなく、足元を固めること、基礎が大事」。基礎を学ぶ授業が中心の1年次生にはグッドタイミングの教訓になりました。

 大学院卒業後、山崎氏はエンジニアとして当時の宇宙開発事業団(JAXA)に就職しましたが、希望とは別の国際宇宙ステーション開発プロジェクトに配属。そこでの経験も、後に役立ったことから「無駄ということはない。何か必ず意味がある」と教示しました。そして数年後、2度目の挑戦でようやく念願の宇宙飛行士候補者に選ばれたのです。山崎氏は宇宙飛行士の選考基準の一つ「日本人としての教養」とは、日本をよく理解していることであり、自身が幼い頃に触れた日本の文化である習字が、この時役立ったのだと言います。正式に宇宙飛行士に認定されたのは、研修を終えた2年後のこと。しかし、その頃スペースシャトルの打ち上げは休止状態で、実際に宇宙に行けるかどうかは、まさに“神のみぞ知る”でした。唯一打ち上げ可能なスペースシャトル「ソユーズ」のフライト資格を取るために、山崎氏はロシアのサバイバル訓練に参加。訓練とは、いかにして生き延びるかを学ぶもので、知識や技術も必要だが、最も大事なのは生きようとする気持ちだと教えられたそうです。

そして、遂にスペースシャトルのクルーに任命され、2010年、山崎氏は日本人女性2人目の宇宙飛行士としてスペースシャトルディスカバリー号への搭乗を果たしました。

 

■宇宙から地球を見つめ直す

%e6%95%99%e9%a4%8a%e8%ac%9b%e5%ba%a72012image008 ここからは、未知なる宇宙生活の体験談とともに宇宙を知る授業へと展開していきました。無重力空間の宇宙では、どんな現象や体の変化があるのか面白いクイズの出題もあり、学生や市民の方も楽しみながら宇宙について理解を深めることができたようです。ロハスの家の研究と同じく、宇宙でも水を浄化して再利用していることもわかりました。「資源が有限である地球でも、エネルギーや水を大事に使うこと」と諭す山崎氏。また、アマゾンの熱帯雨林が伐採されている状況にも心を痛め、「宇宙は地球から遠ざかるだけでなく、自分たちが棲む地球を見つめ直すもの」だと言及しました。「真っ暗な宙に白く輝く太陽も宇宙から見ると星の一つに過ぎない。そして地球という星で生きている私たちは奇跡です」という言葉に、改めて宇宙の神秘を感じさせられました。

 最後に、宇宙飛行士には医者や先生などさまざまな分野の人材が登用されていることから、多角的な広い視点を大事にすること、自身が10年以上の訓練を経て宇宙飛行の夢を実現した経験から、一歩一歩の積み重ねが大事であること、そして「大学生活を大いにエンジョイし、それぞれの夢に羽ばたくことを期待します」というメッセージをいただきました。

%e6%95%99%e9%a4%8a%e8%ac%9b%e5%ba%a72012image010 山崎氏への質問タイムでは、多くの学生や一般参加の小学生などから、宇宙に関する疑問や山崎氏の人生観に迫る質問が飛び交い、会場は大いに盛り上がりました。一人ひとりの問いかけに、真摯に応え温かく握手をしてくださった山崎氏。その素晴らしい人となりに、多く方が講演の終了を惜しみ、拍手喝采とともに感謝の言葉を贈っていました。

 参加した学生たちに感想を聞いてみると、いろいろなお話が教訓として心に残ったようです。

%e6%95%99%e9%a4%8a%e8%ac%9b%e5%ba%a72012image012◆土木工学科1

郡山にいながら、有名な方々の話が聴けるのは、日大工学部だからこそ。とてもよい体験でした。

◆土木工学科1

今まで関心がなかった宇宙にも興味を持ちました。私も自分の考えをしっかり持って生きていきたいと思いました。

%e6%95%99%e9%a4%8a%e8%ac%9b%e5%ba%a72012image014◆電気電子工学科1

一つひとつ、一日一日の積み重ねを大切にして、大学生活を過ごしていきたいと思います。(びっしりメモってましたよ!)

%e6%95%99%e9%a4%8a%e8%ac%9b%e5%ba%a72012image016◆建築学科4

「コミュニケーションで大切なことは相手をよく知る、認めること」という言葉が興味深かったです。来年からの就活に役立てたいですね。

◆電気電子工学科

%e6%95%99%e9%a4%8a%e8%ac%9b%e5%ba%a72012image018壮大な宇宙の話で楽しかったです。トイレの水の再利用や森林伐採の話を聴いて、環境にも配慮していきたいと思いました。

 

 

 学生の皆さんには教養講座と同様に、自分の専門分野とは異なる分野にも関心を持ち、視野を広げながら幅広い可能性を見つけてほしいと思います。

 

 教養講座第3回は、歌手沢知恵氏の「いのちとこころをうたでつなぐ」、第4回は()宇宙航空研究開発機構シニアフェロー川口淳一郎氏の「『はやぶさ』が挑んだ人類初の往復の宇宙飛行、その7年間の歩み」。