須賀川市の復興のために、学生が調査・研究で貢献

 地域を大学のキャンパスに見立て、地域社会の現場で学ぶプロジェクト「エリアキャンパスプログラム」。福島県内の18の高等教育機関で形成されるアカデミアコンソーシアム教育プログラムの一つで、中心市街地の活性化、過疎地域の限界集落問題、都市と農村の交流といったテーマを、地域の人々と一緒に現場で学習することを目的に実施されています。
 その中で、須賀川市中心部に「住環境創生大学校 須賀川」を開校し、ここを一つの拠点として、須賀川市の中心市街地の調査実習を行ってきました。
 この度、平成23年度「エリアキャンパスプログラム」の支援を受け、須賀川商工会議所と連携し、福島大学の学生24名と日本大学工学部の学生21名が合同で調査・研究した成果(中間報告)を、平成23年9月29日(木)ホテル虎屋で、須賀川市民の皆さんにご報告いたしました。
 会場には市役所・商工会議所や自治団体、大学関係者や、アンケートにご協力いただいた商店街の方々など約90人が集まりました。報告内容は次の通りです。

■ 報告内容

1.須賀川市中心商店街の個別経営者アンケート~東日本大震災以降の商店意識調査~

2.須賀川市における被災状況調査報告~文献を中心に~

3.中心市街地ならびに周辺地域における住民意識調査~速報報告~

 まず、福島大学学長特別補佐である山川充夫教授より、ご挨拶と報告会の目的について説明がありました。

 続いて福島大学の経済経営学類山川ゼミより、「須賀川市中心商店街の個別経営者アンケート~東日本大震災以降の商店意識調査~」について発表が行われました。震災の被害状況、店舗再開への取り組み、復興における問題点などについて、99店舗からご回答いただいた結果をまとめたグラフをもとに報告と考察が行われました。本学部の学生も真剣な眼差しで調査報告に耳を傾けていました。

 次に日本大学工学部建築学科住環境計画研究室の学生が「須賀川市における被災状況調査報告~文献を中心に~」について発表を行いました。それぞれ7つのグループに分かれて、新聞記事やインターネットなどを元に調べてデータをまとめたものです。

■須賀川市のインフラ被災状況 

上水道・鉄道・バス・空の便・道路がどのように復旧していったかを時系列で調べました。

■須賀川市中心市街地における建物の被災状況について 

町ごとに集計した応急危険度判定の結果をもとに建物の被害状況を分析しました。

■須賀川の避難所状況について  

避難所の形態や開所日・閉所日・避難者数の推移を長期・中期・短期の3つ滞在形態のグループに分け、避難者数推移の状況について分析しました。

■須賀川市における公共施設の被災状況について

公共施設における人的被害・物的被害、給水所や避難所として利用された状況、須賀川市役所内各部署と総合福祉センターにあった機能の移転状況について発表しました。

■須賀川市の被災復旧状況~買い物環境 

ツイッターを活用して、大型店舗を中心に震災後に再開した日や営業時間・販売状況について調査した結果、震災後1ヶ月でほとんど情報が流れなくなったことから、復旧したものと考察しました。

■須賀川市の遊び場環境について

185カ所ある市内の公園について、それぞれ設置されている9つの地区の7月11日~21日までの放射能数値の平均値を割り出し、遊び場の環境の現況を調べました。

■須賀川市子育て環境の被災状況-アンケート調査より-

幼稚園・保育所などの子育て支援施設を対象に●震災直後の行動●各施設の被災状況・再開時期●放射線物質の対処について●これからの子育て環境に関する心配事についてアンケート調査を行いました。

学生の発表に、よく調べてまとめているという意見や、実際の状況は違っていたというご指摘もいただきました。実態については、文献だけで把握することは難しく、直接住民の方の声を聞くことが大切だということも、調査を通じて得た収穫です。

最後にまとめとして、建築学科市岡綾子専任講師が住民意向アンケートの調査結果を速報版として報告しました。

■須賀川市中心市街地ならびに周辺地域における住民意識調査~速報報告~ 

市岡綾子専任講師 (以下抜粋)

 震災後、ご近所つきあいの助け合いがあると答えた方が7割近くになっており、井戸水の分け合いが7~8割、もらい風呂などの信頼関係を必要とする行為も見られ、助け合う須賀川気質が顕れていると思われます。復興に向けてもこの須賀川気質が活かされる計画づくりを期待いたします。
 被災した直後でも73%が住み続けたいと答える中、農作物など食料への不安や子ども・孫世代の健康不安、放射能汚染による経済悪化など多くの不安を抱える市民の状況も把握できました。また、求める支援施設やサービスについては、公立病院の拡充や室内での子どもの遊び場やスポーツ施設、デイサービスセンターや寄り合い処など、まちなかに必要な施設・サービスについては、図書館・メディアセンターといった既存施設のリニューアル化の他、寄り合い処や災害時避難拠点施設が多く、気持ちの拠り処となる場所、災害時の拠点となる施設があれば復旧・復興も早まるという思いが表れていると考えられます。
 行政に対しては、市庁舎の早期復旧はもちろん、放射能に関する情報提供を望む声が多く寄せられました。
 被災し新たに生まれ変わる総合福祉センターが、より付加価値を高め皆さんにとって過ごしやすい環境であり、困った時に掛け込むことができる場所になることが重要だと思われます。
 今後、さらに詳細な分析を深め、有用な情報提供ができればと考えています。

 須賀川商工会議所の添田幸信地域振興課長は、「私たちのめざす活動に対し、学生の皆さんにはこのような形で側面からご協力いただき非常に助かっています。商店街の皆さんも若い人たちの勇気やエネルギーをもらっていると思います。今までの延長線ではなく、新しく、そして住む人が誇りに思う街にしていきたいと考えています」と話していました。

 学生たちも、「思っていたより高い評価をいただけて嬉しいです。励みになります」「自主的に参加している市民の方もいて、復興しようとする意欲が伝わってきました。これからも須賀川を応援していきたいと思います」と決意を新たにしていました。