健全で持続可能な橋をつくるための

『ロハスの橋』プロジェクトがスタート!

 

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 近年、高度経済成長期に集中整備された社会基盤施設(インフラ)の一斉老朽化が社会問題となっています。このうち、東北地方をはじめとする積雪寒冷地の道路構造物では、冬季に大量の凍結防止剤(塩)が散布されるため、これによる劣化が顕在化しつつあります。中でも道路橋の鉄筋コンクリート製(RC)床版では今後、凍結防止剤による劣化が最も深刻化すると言われています。

ロハスの橋プロジェクト2014image002土木工学科コンクリート工学研究室(岩城一郎教授(右の写真)、子田康弘准教授)では、この問題に対し、長年にわたり精力的な研究を続けてきました。その結果、床版上面のコンクリートのち密性※がコンクリート内部への塩分の浸透を抑制し、かつコンクリート中に適切な空気(エントレインドエアと呼ばれる独立気泡)を連行することにより優れた耐凍害性を示すことを明らかにしました。ち密性はコンクリートの材料や配合を工夫するだけでなく、締固め※や養生※といったコンクリートを施工する際の工夫によっても改善することが可能です。そこで、当研究室では、民間企業の力を借りてロハスの橋プロジェクト2014image003産学連携の研究体制により、健全(Health)で持続可能(Sustainability)な橋、すなわち「ロハスの橋」を実現するためのプロジェクトをスタートすることになりました。

【プロジェクト参画団体】

一般社団法人日本橋梁建設協会

太平洋セメント株式会社

住友スリーエム株式会社

三井住友建設株式会社

BASFジャパン株式会社

 

 

  

最先端の技術を駆使して次世代のインフラを構築する

我が国で初めて、実際の橋と同じ構造を模擬した実物大の橋のモデルを工学部キャンパス内に再現し、研究を進めます。2本の鋼製の主桁上に次のような6枚のRC床版を作製しました。

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ロハスの橋プロジェクト2014image005①現在の基準に従い作製されたもの(標準)、②標準に比べ、コンクリートのち密性が劣り、空気量の少ないもの(低品質)、③標準に比べ、コンクリートのち密性に優れ、空気量の多いものの(高品質)、④高品質に対し、フライアッシュを加え、コンクリートのち密性をさらに高めたもの(最高級)、⑤標準に対し、養生の工夫をし、コンクリートのち密性を高めたもの、⑥標準に対し、施工時の締固めや仕上げの方法を工夫し、コンクリートのち密性を高めたものです。

これらの供試体を1年間自然環境に曝し、その間に様々な物性(例えば、収縮膨張挙動、ち密性、剛性等)を計測します。1年後には供試体からコア(試料)を採取し、各種耐久性試験(塩害、凍害等)を実施します。さらに、輪荷重走行試験機を用いて耐疲労性も評価します。

現在、東日本大震災による津波被害を受けた地域では、復興に向けたインフラ整備が進められていますが、本研究で得られた成果はこのように新しく造られる橋の長寿命化に活かすと共に、ロハスの橋プロジェクト2014image006老朽化した橋を架け替える際にも大いに役に立つものと考えられます。

日本大学工学部は『ロハスの工学』を推進し、これまでも『ロハスの家』研究プロジェクトを遂行し、エネルギーや水の自立、自然との共生を目指した研究を行ってきました。新たに『ロハスの橋』プロジェクトが動き出すことになり、『ロハスの工学』による持続可能な社会の実現に向けた取り組みに、ますます期待が高まっています。

 

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※ち密性…コンクリートの組織が密実でしっかりしていること。その結果、コンクリートの耐久性上有害なCO2NaCl()といった物質の外部からの侵入を抑える。

※締固め…コンクリートを型枠に投入する打込みの際に、振動させたり叩いたりして、コンクリートを型枠の隅々に行き渡らせるとともに、余計な空気を除去して密実にすること。

※養生…コンクリートが十分硬化するまでの期間、適切な温度と湿度を保ち、有害な作用からコンクリートを保護すること。 

 

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